日清と激突? セブンの冷凍カップチャーハンが起こした“革命”と“カップご飯戦争”:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
セブン‐イレブンがカップに入った冷凍チャーハンと冷凍ピラフを発売して大きな反響を呼んでいる。同商品を生んだ背景にある冷凍チャーハンメーカー“3強”の存在と、日清が先行している“カップご飯”について考察してみよう。
伸びる冷凍米飯の市場
冷凍米飯の市場は、チャーハンとピラフ類、おにぎり、その他に大きく分けられる。一般社団法人日本冷凍食品協会の統計によれば、2017年の国内生産量上位20品目のうち、チャーハンはコロッケ、うどんに次ぐ3位となっている。数量では8万4462トン(前年比10.4%増)、金額で282億1500万円(同10.6%増)だ。
ピラフ類はギョウザ、ハンバーグ、カツ、スパゲティを挟んで8位となっている。数量では5万3089トン(前年比1.6%増)、金額で168億7200万円(同0.9%増)である。
両方合わせての市場規模は、およそ450億円と推定される。冷凍食品全体では約7200億円の市場だから、5%程度のシェアとなる。
5年前は、チャーハンは5位、ピラフ類は4位だった。統計上はチャーハンの活性化とピラフの地位低下が目立っているが、カップ入り商品が登場することで、チャーハンはさらなる市場拡大、ピラフは停滞感を脱しての再成長がそれぞれ期待される。
なお、冷凍食品は成長分野であり、市場規模は前年比で数量で3.0%、金額で4.5%伸びている。コンビニが最近冷凍食品に注力し始めたのは、共働きの増加等による市場の成長性に期待しているからだ。
冷凍チャーハンブームの火付け役は?
近年、冷凍チャーハンが躍進するきっかけをつくったのは、01年に冷凍食品のトップメーカーであるニチレイが発売した「本格炒め炒飯」だ。この商品が登場して以降、17年連続でナンバーワン・ブランドの座を維持しているという。
プロの料理人が中華鍋で炒める方法を再現した「三段階炒め製法」を採用。250℃以上の高温熱風で余分な水分を飛ばすために、パラパラと香ばしく仕上がる。
なまじの飲食店よりもうまいのではないかとも称される本格炒め炒飯の登場は、業界に衝撃を与え、この商品をベンチマークした多数の商品が生まれている。特に15年に登場した味の素冷凍食品「ザ・チャーハン」は本格炒め炒飯と首位争いを繰り広げるほどヒットし、冷凍チャーハン市場にさらなるインパクトを与えた。同商品は、チャーハンではあまり使わない焦がしにんにくのマー油を果敢に使用。コクがあり、香ばしい“男のチャーハン”を創出した。また、従来の商品が450グラムだったのに対し、600グラムという分量になっていることも、ザ・チャーハンの特徴だ。
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