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日銀、市場変動による心理面注視 総裁「経済に変化ない」手詰まりなのか(2/2 ページ)

日米株価の大幅下落が進んだ20日、金融政策決定会合後の会見で黒田東彦日銀総裁は、世界・日本経済に大きな変化はないと強調した。それでも金融市場では世界経済の減速を先取りする形で株安・金利低下が進んでおり、市場変動を通じた企業・家計のマインドや、インフレ期待への影響が懸念される状況になりつつある。

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<長期金利低下、副作用拡大の可能性>

19日に一時0.01%まで低下した長期金利の動向にも注意が必要だ。黒田総裁は会見で、日本の長期金利の低下は欧米金利の低下に伴うものとの認識を示し「これ自体は、別に何ら問題視することではない」と断言。

7月に拡大を決めた変動容認幅(ゼロ%中心に上下0.2%程度)の範囲内で、経済・物価情勢や内外市場の動向を反映しているのであれば「マイナスになること自体は、問題ない」とも語った。

もっとも、日銀では2016年9月の総括的な検証で、イールドカーブの過度なフラット化は金融機関収益にマイナスに作用するとともに、保険や年金の運用利回りを低下させ「広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらし、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と分析している。

さらにイールドカーブがフラット化した場合、金融機関収益への影響など副作用への懸念が一段と強まる可能性がある。

黒田総裁は会見で、世界経済を中心としたリスク要因の増加を踏まえた金融政策運営について「将来、物価安定目標に向けたモメンタムを維持するために必要と判断されれば、もちろん適宜適切に追加緩和を検討していく」と言及。従来よりも強いトーンで語り、市場をけん制した格好だ。

大規模緩和が想定よりも長期化する中で、市場では日銀の手詰まりを指摘する声が多い。海外発のリスクが顕在化した場合、日銀に打つ手はあるのか。

物価2%目標の実現に向けた金融政策運営は、正念場を迎えつつある。

(伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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