連載
2018年に乗った特筆すべき日本のクルマ(前編):池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/4 ページ)
2018年もいろいろなクルマの試乗会に行った。もちろん全ての試乗会に呼ばれるわけではないので、あくまでも筆者が試乗した範囲で「特筆すべきクルマ」について振り返りたい。前後編で6台の日本のクルマを紹介する。
スバル・フォレスター
フォレスターの場合、2.5の自然吸気ユニットを搭載するモデルと、2.0のe-BOXERは性格が違う。筆者の印象に残ったのは2.5だった。新世代シャシーによって明らかに剛性が上がったボディと、マイルドで線の太い2.5リッターユニットの組み合わせは、鷹揚で穏やか。それでいてサーキットのような場所で本気でしごいても破たんしない。じんわりと幸せな良いクルマだと思う。
また、ミドルクラスのSUVを新時代のセダンとして捉える人々にとっても、リヤシートの空間構築は高く評価できる。加えて、定員乗車時にもリヤのラゲッジスペースがそれなりに充実していると言う点でも評価は高い。
ひとつ断るべき点があるとれば、スバル得意の水平対向ユニットは現代の水準で見たときに燃費的にはかなり苦しいことにはなっているので、そこを受け入れられる人でないと厳しいかもしれない。
良くも悪くもクルマの出来が20世紀的。滅び行く良きものを最後に味わうつもりならばフォレスターは最適な1台だと思う。富士重工がスバルへと社名変更を遂げたことに際して、筆者はこのフォレスター2.5を「富士重工の卒業制作」あるいは「富士重工の集大成」だと捉えている。10年後に振り返ったとき、「あれが最後だったなぁ」と思う可能性は高い。
参照記事:新型フォレスターのふくよかなリズム
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