「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験:水曜インタビュー劇場(キャッシュレス公演)(2/5 ページ)
1年ほど前、東京の日本橋に「現金お断り」のレストランが登場した。ロイヤルホストを運営するロイヤルHDが運営しているわけだが、キャッシュレスにしてどんなことが分かってきたのか。メリットとデメリットを聞いたところ……。
オープン当初、否定的な意見がたくさん
土肥: 東京・日本橋馬喰町に「現金お断りの店」が登場して、1年がたちました。1000円札や50円玉を使えない店は、どういった経緯でオープンしたのでしょうか?
野々村: 飲食店って、接客であったり、調理であったり、スタッフの教育であったり、さまざまなことにチカラを入れなければいけません。でも、十分ではなかったんですよね。なぜかというと、売上管理などの業務に追われて、現場では非常に負荷がかかっていました。
こうした業務はテクノロジーのチカラで、なんとかすることができるのではないか。馬喰町の店は新しい調理機器を導入して、キッチンで火や油などを使わなくてもいいようにしました。このほかにも掃除はロボットに任せたり、ペーパーレスにしたり。生産性を向上させるだけでなく、働き方改革の一環として、キャッシュレスの仕組みを導入しました。
「日本を変えるために、キャッシュレスの店をつくろう」といった大義があったわけではなくて、現場の負荷をどうすれば軽減させることができるのか。こうした課題を解決するために、実験店としてオープンさせました。
土肥: オープン当初、周囲からはどのような声がありましたか?
野々村: 否定的な意見をたくさんいただきました。「現金を使えないとは、どういうことだ」「クレジットカードや電子マネーを持っていないので、店を利用できないじゃないか」といった声がありましたが、10日ほどたつと、肯定的な声が届くようになりました。「日本にもとうとうキャッシュレスの店ができたんだ」「一度、利用してみたい」など。
オープン前には、こんな心配をしていました。食事をして、会計する際に「オレはクレジットカードを持っていない。どうしてくれるんだ」といった人が出てくるかもしれない。こうしたトラブルが起きてはいけないので、社内からは「現金を用意したほうがいいのでは」「次回、支払ってもらえればいいのでは」といった意見がありました。
実際、オープンしてみてどうだったのか。トラブルはゼロ。なぜかというと、お客さんはタブレット端末を使って注文するわけですが、その際に「当店は現金を使用することができません」といった文言が表示されるんですよね。キャッシュレスでも問題がなければエンターキーを押して、注文することができる。というわけで、クレジットカードや電子マネーなどを持っていないお客さんは、注文することができないフローになっています。
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