たった8年で4万人を集める祭典に成長 神田カレーグランプリの舞台裏:並々ならぬ情熱(1/6 ページ)
2011年から開催されている「神田カレーグランプリ」はたった8年で4万人以上を集める祭典に成長した。イベントの“素人集団”はなぜここまで成功できたのか。
「カレーを起爆剤にして街を盛り上げよう」
そんな熱い思いを胸に、地元中小企業の有志が2011年に「神田カレーグランプリ」を立ち上げた。規模は年々拡大を続け、2018年には来場者数が4万人超、参加店舗数が89店に達した。
国内最大規模の「カレーの祭典」といっても過言ではないこのイベントはどのようにして生まれ、多くの人を巻き込んでいったのだろうか。神田カレー街活性化委員会の委員長である中俣拓哉氏に話を聞いた。
スタンプラリーとグランプリ決定戦の二本立て
まず、イベントの概要を解説しよう。この祭典は「スタンプラリー」と「グランプリ決定戦」の2部構成となっている。
「神田カレー街食べ歩きスタンプラリー」の参加者は100日間かけて公式ガイドブックの地図を参照しながら店を訪れ、カレーを食べるとともにスタンプシートにスタンプを押してもらう(スマホでスタンプを集める「デジタルスタンプ」もある)。スタンプラリーのコースはいくつかあり、制覇したコースの数に応じてマイスターの称号がもらえる。マイスターになると、年に何度か開催される「マイスター会議」に参加する権利や、お店からの特典が得られるようになる。
スタンプラリーとは別に、「予選ファン投票」もある。投票期間中、参加者が専用のWebサイトやハガキでお気に入りの店に投票することで、11月初旬に開催される「グランプリ決定戦」に出場する店が決まる。グランプリ決定戦は専用の会場で2日間にわたって行われ、来場者がカレーを食べ比べながらおいしいと思った店に投票し、No.1が決まる。
東京都千代田区にある神田周辺は古本店やスポーツ用品店の集積地として有名だが、カレー提供店が400店以上ある“カレーの激戦区”とされている。
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