「いきなり!ステーキ」は相次ぐ競合の参入を振り切れるか?:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
これまで破竹の勢いで成長してきた「いきなり!ステーキ」。ここへ来て競合となる店舗が次々と登場している。今後の展開はどうなるのだろうか?
競合となる店舗が次々と現れ、一部から成長鈍化を懸念する声も聞こえてくる「いきなり!ステーキ」。これまでは破竹の勢いだったが、今後の展開はどうなるのだろうか。いきなり!ステーキの現状について考察した。
類似の競合店が続々と市場に参入
「いきなり!ステーキ」は、説明するまでもなく、立ち食い形式のステーキ専門店である。2013年に1号店を出店して以来、格安の値段でステーキが食べられると評判になり、一気に店舗網を拡大した。18年から出店ペースをさらに加速しており、同年11月時点で360店舗を超えるまでに成長している。
いきなり!ステーキを展開するペッパーフードサービスは、ステーキを中心としたレストラン「ペッパーランチ」を展開してきた外食チェーンだが、わずか数年で全社売上高の多くをいきなり!ステーキが占めるまでになった。
同部門の躍進によって同社の業績はうなぎ上りとなっており、18年1〜9月期(第3四半期)決算における売上高は、前年同期比約80%増、営業利益も42%増。通年では売上高629億円、営業利益40億円を見込んでいる。売上高は前年比73.7%増、営業利益は75.5%増なので、まさに大躍進という言葉がふさわしい。
一点の曇りもないように見える同社だが、ここに来て、少しだけ懸念材料が見え隠れするようになってきた。目下、最大の課題は相次ぐ競合の参入である。
昨今、いきなり!ステーキの業態とよく似たステーキ専門店が次々と新規出店している。ステーキ専門店大手の「ステーキのあさくま」も新業態「やっぱりあさくま」をオープンしており、今後、同業態の展開に力を入れる方針を打ち出している。同店を運営するテンポスホールディングスの森下篤史社長は、「いきなり!ステーキをまねる」と発言しており、類似の業態であることをまったく隠していない。
森下氏は厨房機器のリサイクル事業を手掛けるテンポスバスターズの創業者であり、外食産業ではカリスマ的経営者である。同氏だからこそ許される発言ではあるが、成功した業態を互いにまねることで外食産業が発展してきたのは紛れもない事実である。
いきなり!ステーキをまねる企業が続出しているということは、この業態はホンモノであり、一過性のブームではない可能性を示している。その意味では、まだまだ市場は伸びると解釈することも可能だ。
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