西友の販売期限切れ食品はどこへ行く? 追跡して見えてきたものとは:食品ロス対策の現場を歩く(3/4 ページ)
食品ロス対策が社会問題化している。西友ではまだ食べられるのに廃棄せざるを得なかった食品の一部を寄付している。棚から商品が撤去されて寄付されるまでの流れを追ってみた。
フードバンクとは?
ここで、2HJについて説明しよう。2HJは食品メーカー、小売りチェーン、個人などからまだ食べられる状態なのに廃棄されてしまう食品を受け取り、さまざまな福祉施設などに届ける活動を行っている。こういった活動は一般的に「フードバンク」と呼ばれている。2HJの広報担当者によると、17年の食品取扱量は約2000トンで、毎月約300の施設に食品を提供しているという。同団体に食品を提供した企業数は18年7月末時点で累計1526社にのぼる。
石田さんに、なぜこのような活動に従事しているのか聞いてみた。たまたまフードバンクの活動を知り、何か手伝えることがないかと考え、ネットで調べていたところ、2HJのことを知ったという。石田さんは「(自分以外の)他のボランティアの人たちは基本的に前向きな姿勢の方々が多く、私も日々刺激を受けています。この活動は楽しいですね」と笑顔を見せ、トラックに乗り込んでいった。2HJの広報担当者によると、1週間の平均ボランティア参加人数は100人以上だという。
児童養護施設に運ばれる食品
物流センターでピックアップされた食品はどこに運ばれ、誰にどのように食べられるのだろうか。記者は社会福祉法人「同仁学院」(埼玉県日高市)が運営する児童養護施設「あいの実」を訪ねた。
同仁学院が運営する施設では48人の子どもたちが生活を送っている(18年12月時点)。日高市にある本園の敷地内には7つの寮があり、ここに西友の物流センターや埼玉県八潮市にある2HJの倉庫からトラックで食品が届けられる。また、地元の農家や団体からも寄付を受けている。
あいの実で施設長を務める関根歩さんに、6人の男子高生と3人の職員が生活をしている寮のことを中心に話を聞いた。
「高校生が住む寮は自立して生活できるようになることを目的に運営しています。子どもたちは自分で献立を考え、調理もしています。予算内に収まるように、調味料などは特売の日に買いためておくといった工夫もしています。さまざまな方から寄付をいただいているおかげで、毎月の食費は約16万円で済んでいます」
関根さんによると寄付を受けて特に助かっているのはおやつになるような食品だという。子どもたちは学校に弁当を持参しているが、帰宅してから夕飯までお腹がすくことが多い。そのため、夕食前にお菓子やごはんにレトルトカレーをかけたものを食べているのだとか。
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