西友の販売期限切れ食品はどこへ行く? 追跡して見えてきたものとは:食品ロス対策の現場を歩く(4/4 ページ)
食品ロス対策が社会問題化している。西友ではまだ食べられるのに廃棄せざるを得なかった食品の一部を寄付している。棚から商品が撤去されて寄付されるまでの流れを追ってみた。
高級アイスと高級チョコレートの効果
あいの実では「日常の衣食住で不足するようなことはないが、ぜいたくはできない」(関根さん)水準の生活を送っている。そんな中で、寄付されると子どもたちに特に人気の食品があるという。それは、コンビニやスーパーでよく見かけるが、普段買うことができない高級アイスや、高級チョコレートだ。そして、こういったお菓子を食べることが、子どもたちの人生経験にもつながると同施設の職員は指摘する。
「子どもたちは『自分はこういう施設にいるから、安いものしか買ったことがない』と考えがちです。しかし、高級なお菓子を一度でも食べた経験があると、施設を出たあとの自信につながります。私は、寄付された高級チョコをみんなで食べるときには『バレンタインにこのブランドのチョコをもらったら、本命のサインなんだよ』と伝えています」
きっかけはある従業員の問題意識
西友の物流センターから食品を運んできたトラックがあいの実に到着した。取材当日は、西友が寄付した米袋やキャラ菓子、ほかの団体から寄付された野菜やバナナなどが同時に届けられた。施設の職員たちは、各寮に分配するため手際よく段ボールに食品を詰めていく。
2HJで5年近く食品の配送をしている高橋寛明さんに話を聞いた。
「配送する前に、職員の方々から『食品油が欲しい』といったリクエストがあれば、寄付された食品の中から探して持ってきています。また、この施設の子どもたちはバナナやお菓子が好きなので、優先して配送するよう心掛けています」
職員と高橋さんとはすっかり顔なじみの仲であり、施設のニーズを熟知しているという。
このように、食品ロス対策と社会貢献を両立させる西友の活動には、多くの従業員やボランティアが携わっている。もともと、この活動に取り組むきっかけになったのは、「店舗で廃棄しているもったいない食品を生かす方法はないだろうか」という声だったという。
それぞれの現場には「少しでも社会をよくする活動に関わりたい」「寄付先の人たちを笑顔にしたい」という意思が確かに存在していると感じた取材だった。
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