月の裏側着陸は人類初! グイグイ加速する中国の宇宙戦略:宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)
新年早々のビッグニュースだ。1月3日、中国の無人探査機が人類史上初めて月の裏側に着陸成功した。今回は、躍進する中国の国家宇宙開発、急増する宇宙ベンチャーの動向を紹介したい。
小型ロケット、衛星コンステレーションなどが急増
急増しているのが小型ロケットベンチャーだ。昨年末に米Rocket Labが初の完全商業打ち上げに成功した小型ロケット開発分野は、世界で100社以上が取り組んでいると言われる。中国においても10社近い企業が取り組みを進めている。
その代表例がLandSpace、iSpace、OneSpaceなどだ。LandSpaceは高度500kmに200kgまで打ち上げ可能な小型ロケット「朱雀1号」を開発し、17年10月に1回目の打ち上げを行ったものの失敗に終わった。iSpaceは昨年、サブオービタルまで実証打ち上げに成功。OneSpaceはサブオービタルロケット「OS-1」と低軌道まで到達可能なロケット「OS-M」の開発で100億円以上を調達している。
小型ロケットだけではない。北京に拠点を構えるZeroG Labsは超小型衛星の開発を行っており、18年に同社初のラウンドで3.2百万ドルの資金調達を行った。同社は当初、分解能4メートル以上の6ユニットの超小型衛星を132機打ち上げる計画をしていたが、将来的には378機の衛星を配備することを発表した。
通信衛星分野にもプレイヤーが存在する。13年に創業後、WiFiのシェアリングサービスで注目を集めてきたLinkSure Network社は、宇宙ビジネスに参入することを発表。地上ネットワークが未整備な地域に対して、26年までに272機の衛星群による無料のインターネット接続サービスを提供する計画だ。19年に最初の打ち上げを計画しており、20年までに10機の衛星を打ち上げる。
政府だけではなく、民間宇宙ベンチャーによる宇宙ビジネスも動き出した中国。今年はその動向に注目だ。
著者プロフィール
石田 真康(MASAYASU ISHIDA)
A.T. カーニー株式会社 プリンシパル
ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、15年のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。日本初の民間宇宙ビジネスカンファレンスを主催する一般社団法人SPACETIDE共同創業者 兼 代表理事。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。著書に「宇宙ビジネス入門 Newspace革命の全貌」(日経BP社)。
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