ファミマのうまいパン決定戦 山パンの全国制覇を阻んだ神戸屋の策略:パンの形状に秘密あり(1/3 ページ)
ファミマの「うまいパン決定戦」優勝メーカーが決まった。全国制覇を狙っていた山崎製パンだったが、神戸屋に阻止された。その背景にあった神戸屋の策略とは?
ファミリーマートは1月24日、全国のパンメーカー9社が開発した商品のうち、最も売り上げ額が多いパンを決める「うまいパン決定戦」の優勝メーカーを発表した。北海道、東北、九州の3ブロックで優勝したのは山崎製パン。関東・甲信越・福島、関西・東海・北陸・四国の2ブロックで優勝したのは神戸屋だった。
このイベントは、2018年11月27日から12月17日にかけて行われた。パンメーカー9社が、フルーツをテーマにファミマオリジナル商品を開発。全国を5ブロックに分け、ブロックごとの販売金額1位を競った。優勝商品は、それぞれの優勝ブロックで19年1月29日から再発売されることが決まっている。
山崎製パンは9メーカーの中で唯一、全てのブロックで商品を販売していた。記者発表会で同社の担当者は「全国制覇を狙っていたが、残念ながらできなかった」とコメントした。山崎製パンの“独り勝ち”を阻止した神戸屋はどのような戦略を打ち出していたのだろうか。
うまいパン決定戦をなぜ開催したのか
まず、今回のうまいパン決定戦が開催された背景を解説しよう。
現在、大手コンビニチェーン各社は中食分野を強化している。共働き世帯や単身世帯の増加で、家で調理するシーンが減っているためだ。ファミマの中食カテゴリー全体において、パンは売り上げ構成比の約20%を占めている。商品・物流・品質管理本部デリカ食品部の木下紀之部長はパンを「非常に重要なカテゴリー」と位置付けている。
「各ブロックで1位を決める」という方法を採用したのにも理由がある。各地域のお店で「当店の推しパンはこれ」などと打ち出してもらうことで、品ぞろえに特徴を出し、他店舗との差別化につなげる狙いがあった。実際、うまいパン決定戦の期間中、各店舗では推しパンを目立たせるために独自のポップを作成したり、パンに振り分ける商品陳列棚のスペースをいつもより多くとったりした。また、店舗によっては、全ての商品をそろえるのではなく、推しパンだけを陳列するケースもあったという。
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