メルカリが宇宙分野に参入する理由:宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)
フリマアプリを運営するメルカリの名を知らない人は少ないだろうが、同社の研究開発部門が宇宙分野で取り組みを進めていることはご存じだろうか? この宇宙プロジェクトをリードする大堂さんに話を聞いた。
フリマアプリを運営し、2018年6月に東証マザーズ上場を果たしたメルカリ。読者の中でその名前を知らない人はいないであろう有名企業だが、同社の研究開発部門である「mercari R4D」が宇宙分野で取り組みを進めていることをご存じの人は少ないかもしれない。
なぜメルカリが宇宙なのか? その狙いは? 同社の宇宙プロジェクトをリードする工学博士の大堂由紀子さんが六本木ヒルズの本社で語った。
取材者プロフィール
大堂由紀子(おおどう・ゆきこ)
大阪大学大学院・博士(工学)。アクセンチュア株式会社を経て、2005年日本ユニシス株式会社入社。知的財産の格付け・投資助言を行う子会社を設立。その後、製造、金融、流通、公共など新規事業立ち上げに従事。2015年宇宙航空研究開発機構(JAXA)施策の採択にて、国内初の衛星データ利用EMSプロジェクトを設立。2018年、株式会社メルカリ入社。JAXA降水観測ミッション利用検討委員会委員。
社会実装を目的とした研究開発
mercari R4Dは2017年12月にできた組織です。R4Dとは、研究(Research)と4つのD、設計(Design)・開発(Development)・実装(Deployment)・破壊(Disruption)を行動指針として活動しています。いわゆる研究開発機関と違い、調査研究にとどめずに、社会実装を目的とした研究開発組織として立ち上がりました。
私たちは、近未来の社会課題解決のために役立つ技術やテーマを研究範囲としています。具体的な取り組み方は、実社会で技術実証や事業実証などをひとつずつ試しフィードバックを得ながら研究を進め、事業化までもっていくことを目指しています。
研究範囲は、AI(人工知能)、XR(AR/VR/MRなどの総称)、量子コンピューティング、IoT、ブロックチェーンなどがあり、それらと並んで宇宙の技術やビジネスにも注目をしています。昨今の宇宙業界は成長率も高く、政府も新たな宇宙ビジネス創出に力を入れており、大きな可能性を感じています。他方、まだどうなるか分からないからこそ研究を行い、社会実装をしながらブラッシュアップすることが必要だと思います。
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