「非喫煙客と喫煙客のケンカなくしたい」「減収が心配」――飲食店「禁煙化」の賛否を関係者に聞いた結果は?:成功例は少数派
「受動喫煙防止法」の賛否を飲食店関係者に聞いた。「賛成」は49.3%、「反対」は25.4%だった。「非喫煙客と喫煙客のトラブルをなくしたい」など、さまざまな意見が出た。
2020年4月に施行予定の「受動喫煙防止法」に賛成? 反対? 飲食業界に特化した求人サイトを運営するクックビズ(大阪市)が約200人の飲食店関係者に意見を聞いた結果、「賛成」は49.3%、「反対」は25.4%、「どちらともいえない」が25.4%という結果だった。
喫煙環境別では、すでに全面禁煙化した店舗では関係者の62.5%が賛成派だったが、時間帯別の分煙(46.2%)、エリア別の分煙(41.2%)、全席禁煙可(35.4%)――と、運営する店舗の喫煙許容度が高まるごとに、関係者からも賛成派が減る傾向がみられた。
喫煙者VS.非喫煙者 客がケンカし閉店した例も
賛成派からは「受動喫煙や副流煙による健康被害を少しでも防止したい。頻度は多くないものの、副流煙が原因で退職した従業員も過去にいた」「過去に経営していた店舗で、喫煙客と非喫煙客のトラブルがあった。それを避けるため店内を禁煙化し、店外に灰皿を設置したところ、喫煙客が来なくなり閉店に追い込まれた。最初から法的に禁煙であれば、顧客同士でもめることもないだろう」などの意見が出た、
反対派からは、「全面禁煙にしてしまうと、喫煙者の足が遠のきそうだ」「店舗周辺に喫煙区域がない場合は、来店者が減少する可能性を否定できない」「禁煙化をまともに実施するお店が損をする」など、売り上げ減少を懸念する声が多かった。
全面禁煙化で「売り上げ増」は少数派
すでに全面禁煙化を実施している店舗関係者に業績への影響を聞いたところ、「売り上げが増えた」は12%で、「串カツ田中」のような成功例は少数派であることが分かった。「売り上げが減った」は28%、「特に変化はなかった」は60%だった。
売り上げが増えた企業には「たばこを吸えないため、長居する方が減った」「どの席でも利用いただけるようになった」など、回転率の向上や空席率の低下を挙げる人が多かった。
売り上げが減った企業の担当者は「非喫煙者はあまり飲酒しない傾向が強いため、客単価が下がった」「『上司が喫煙者だから店に入りづらい』などの理由でビジネス客が減った」などと指摘した。
「特に変化はなかった」層からは、「灰皿の処理や壁紙などの掃除の手間が減った」などの意見があった。
45%は「今後も禁煙化しない」
まだ禁煙化に踏み切っていない店舗関係者のうち、「今後禁煙化する予定がある」と答えた人は55%。受動喫煙防止法では、客席面積が100平方メートル以下で、個人経営または資本金5000万円以下の店舗は規制の対象外となることなどから、残る45%は「禁煙化しない」と答えた。
禁煙化に否定的な層からは「分煙スペースを確保できない」「現在の客層の大半が喫煙者」「地域的に喫煙文化が根強い」などの声が挙がっていた。
調査は2018年7月27日〜8月6日にインターネット上で実施。首都圏を中心に、日本全国の飲食店関係者213人に意見を聞いた。
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