企業の9割が「人手不足」実感 「高待遇での採用活動」など実施も効果薄:なぜ人手が足りなくなる?
人手不足の部門を抱えている企業が89%存在することが、エン・ジャパンの調査で判明。人手不足の理由は「退職による欠員」、カバーする方法は「採用」「残業・休日出勤」などの意見が出た。
人手不足の部門を抱えている企業は89%――。人材会社エン・ジャパンの調査でこんな実態が分かった。人手不足の企業はIT、不動産、メーカー、サービス、小売り・流通などの業界に多く、営業職(35%)、IT系技術職(18%)、企画職(16%)、電気・機械系技術職(14%)、運輸・物流関係職(12%)などの人材が特に不足していた。
では、なぜ企業の人材は不足するのか? 調査によると、要因のトップは「退職による欠員」(57%)。以下「中途採用で人員確保ができなかった」(51%)、「既存業務の拡大」(36%)、「業績好調による業務量増加」(30%)、「年齢構成のバランスが悪い」(25%)、「新卒採用で人員確保ができなかった」(20%)と続いた。
人手不足への対処法は、「新規人材の採用」(86%)が最多。以下「既存の業務を効率化する」(35%)、「既存社員の教育」(30%)、「社員のモチベーション向上のための処遇見直し」(18%)、「アウトソーシングなどを活用し、不必要な業務をやめる」(15%)、「残業、休日出勤で対応する」(13%)、「経営者や管理職が作業を補う」(12%)と続いた。
採用を進めている企業の回答者からは「高い給料を提示して採用活動をしているが、既存社員の給料は低いままなのでひずみが生じ、人材が流出し続けている」「求職者は給与だけでなく、休みの多さや残業の少なさを求めている。魅力的に感じてもらえる条件提示が難しい」「人数を集めることが目的になってしまい、本当に活躍してくれる人材の見極めに手が回っていない」など、人手不足解消に苦慮しているという意見が多く挙がった。
調査は2018年11月28日〜12月29日にかけて、同社のサービス「人事のミカタ」のユーザー企業を対象にインターネット上で実施。762社から回答を得た。
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