日本でのK-POP躍進の軌跡 長年支え続けてきた功労者に聞いた:活躍の舞台は世界(4/4 ページ)
"K-POP"が世界を魅了している。だが、日本で歩んできた道のりは決して平坦なものではなかった。K-POPを長年支え続けてきた功労者の1人であるユニバーサル ミュージック合同会社執行役員、中村卓さんに話を聞いた。
活躍の場は既に「世界」
中村さんは「テレビなどに出ていなかった時期も、アーティストたちはずっと研さんを積み重ねていました。今はその力が認められてきた段階なのかなと思っています」と昨今の日本でのK-POP人気の高まりを分析する。
アジアのみならず欧米で人気が拡大していることについては、ハイクオリティーなダンスに加えて、鮮烈なビジュアルや演出などが言葉や文化の壁を越えられた鍵かもしれないという。
実際に、韓国人男性グループ「BIGBANG」が12年に発売した「FANTASITC BABY」は、軽快なメロディや独特な世界観を持った派手な演出のMVが話題となり米国で人気を集めた。米国の人気ドラマや映画にも起用されるなど、今までのK-POPとは一線を画す人気ぶりだった。
また、今1番の注目株の1つであるBTSは、18年5月に米ビルボードのアルバムチャートで1位を獲得。アジア圏のアーティストとして初の快挙だった。さらに8月には、米メジャーリーグ「ニューヨーク・メッツ」のホーム球場スタジアムでの公演チケット4万人分以上を完売し、世界を驚かせた。
BTSの人気が広がっている背景には、SNSなどを駆使したプロモーション戦略が奏功したこともあるが、やはり人々を魅了し目を引くパフォーマンスがあるからだと言える。
「結局、最終的には評価されるべきものは評価されるんだと思います。だから『K-POP』という言葉で彼らを区分する必要もないと考えていて、純粋に彼らの歌やダンスを楽しめばそれでいいと思います」
今、多くのK-POPアーティストはデビュー当時からグローバルでの活動展開を意識しているという。
「数年前までは、K-POPのアーティストにとって日本での活躍が"1つのゴール"みたいな感じもありましたが、今は全く違います。勝負の舞台は世界です。彼らにはそれを実現するだけの実力があると信じていて、今後も音楽活動をサポートしていきたい。そのための人材の投入やプロモーション開拓などにも今後ますます注力していきたい。今年、世界の音楽マーケットに向けた新たなアーティスト(のデビュー)も準備しています」と、K-POPのさらなる躍進に向け中村さんは意気込んだ。
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