外資系証券で6000万円使って分かった接待の極意:「お金」と「仕事」の本当の話をしよう(1/4 ページ)
顧客と信頼関係を築く手段としてに欠かせない接待。筆者は外資系証券会社に在籍していた際に通算580回の接待をした。合計6000万円近くを使って見えてきた接待の極意とは?
「お金」と「仕事」の本当の話をしよう:
社会課題解決型のインパクト投資を行う「ミッション・キャピタル」代表の金武偉(Will Kim)氏が、外資系証券会社や米国大手ローファーム勤務などで学んだ「お金」と「仕事」のリアルをユーモアたっぷりに語りつくす
高校・大学ともに米国で履修した帰国子女の私は、ゴールドマン・サックスに入社した。2年半株式トレーダーと金融法人営業を務めたあと、JPモルガンに移籍し、同じことを1年数カ月行った。その後、再度渡米し、ボストン大学のロースクールで3年間法律を学び、ニューヨーク・ウォール街で権威ある法律事務所で5年間弁護士生活を歩んだ。その後また日本に戻り、企業買収ファンド、ITベンチャー経営を経て、「ミッション・キャピタル」という社会的インパクト投資を行うファンドを創業し、現在に至っている。
本コラムでは、通算580回の接待で6000万円近くを使った外資系証券時代に、私が一番接待を頑張った日を振り返り、そこで得た教訓を読者とシェアしたい。
接待準備にサウナは必須
接待当日、私はすさまじい二日酔いに襲われていた。前日も合コンだったし、さらにその前日の日曜はデートで高級ワインを4本も空けている始末。私は株式市場が引けたあと、そそくさと会社を出た。サウナで二日酔いの頭痛を和らげるためだ。
午後6時30分、私はすっきりとした顔でサウナを後にする。今日は、担当する巨大資産運用会社のお偉いさんと、会食の予定が入っている。
私の使命は1つ。株式市場ではさばけないほどの巨大な売り買い注文の銘柄と株数を顧客から教えてもらい、反対売買の投資家も見つけて市場外で取引を成立させること。証券会社はその際に価格の「さや」を抜かせていただいたり、約定金額の手数料を得たりする。いわゆる「ブロック・トレード」が私のミッションだ。
しかし、市場に影響を与える巨大な需給の情報は、個人としての信頼がなければ絶対に得られない。競合他社に抜きんでるために、まずは信頼を勝ち取り、重要な取引情報をいただき、結果で返す。今日はそのために、やっと食事のお誘いに応じてもらった大切な日なのだ。
決して、今夜はしくじれない。
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