【第1話】社長からの呼び出し、突然のリーダー拝命:「働き方改革」プロジェクトリーダーを命ず(3/3 ページ)
X製作所の経営企画部長である日野下吉郎はある日突然、社長からランチミーティングに呼び出された。議題は同社が半年前から取り組み始めた「働き方改革プロジェクト」である。この進ちょくに対して社長の小田は不満だったのだ……。
日野下: 至らず申し訳ありません。早速、芝田さん、上地さんと連携して、ご報告します。
小田: その働き方から変えてもらいたいな(苦笑)。報告ではなく、どうしたら成果が出せるかを考えて欲しい。人事もITも彼らの責任と権限に照らしてできることはやっている。人事やIT部門が「皆さんが頑張ってください、私たちがお手伝いします」というやり方では限界なんじゃないか? 率直に言って、どう思っているか聞かせて欲しい。
日野下: はい。今の活動はここで一区切りかと思います。過重労働による社員の健康リスクは相当低減できていますし、法的リスクは回避できています。仕事の自動化、デジタル化もやってみてはいます。ですが、根本から業務が変わったとまでは言えません。「残業できないのでその日中にやらなきゃならない処理を優先せざるを得ず、新しいことを検討する時間は却って減った」という声すらあります。ここからは第2フェーズとして、ゴール設定から考え直すべきかと思います。
小田: よし! 今日、初めていいことを言ったな。じゃあ、分かったね?
日野下: はっ? と、おっしゃいますと?
小田: (いたずらっぽく笑って)第2フェーズのリーダーは君だよ。アドバイザーの竹中さんにはもう話してある。彼女と協力してしっかり頼む。役員たちには私から根回ししておく。
日野下: か、かしこまりました……。
小田: 私のスピード感は分かっているよね? うん、ワクワクするな。今日のランチは私のおごりだよ。
(続く)
【解説】働き方改革のテーマ
「働き方改革」と一口にいっても、企業によって捉え方はそれぞれだ。全体的な傾向として人事制度改革としての取り組みは一巡し、業務改革に焦点を移す企業が増えてきた。小田社長指摘の通り、図の「!」にアプローチしない限り余力は創出できない。
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