CDも苦戦しているのに、なぜ中目黒のカセットテープ店は好調なのか:水曜インタビュー劇場(逆行公演)(5/6 ページ)
中目黒駅から徒歩10分ほどのところに、カセットテープ店があることをご存じだろうか。店名は「waltz」。CDの売り上げも減少しているのに、なぜカセットテープを扱っているのか。店主の角田太郎さんに聞いたところ……。
カセットテープを販売するには「知識」が必要
土肥: 「ありがたみ」を感じてもらえれば、音楽を聴いてもらえると?
角田: はい。カセットテープがここ数年、再評価されつつあるのは、そこに「ありがたみ」を感じられるからではないでしょうか。カセットテープの場合、音楽を聴こうと思っても、再生環境がなければ楽しむことができません。「以前はカセットプレーヤーを持っていたけれども、捨ててしまった」「押し入れから引っ張り出してみたけれども、壊れていた」といった人が多いなかで、それでもカセットテープで音楽を楽しむ人たちがいる。
プレーヤーを買って、テープを買って。いまはネットでただで音楽を聴くことができるのに、それでもお金を出して聴こうとする。なぜ、そのようなことをするのか。「ありがたみ」を感じながら、音楽を楽しみたいからではないでしょうか。
土肥: なるほど。ところで、waltzがもうかっているとなれば、真似をする人が出てくるかもしれません。「ウチもカセットテープを販売してみるか」となれば、競合が増えそうな。
角田: 音楽を売るということは、知識がなければ難しいと思うんです。棚に商品を並べれば、自然に売れるといった世界ではありません。新品のテープは、どこの国のアーティストなのか、どんな特徴があるのか、といった情報をきちんと説明しなければいけません。
大手のCDショップがカセットテープの販売にチカラを入れたので、waltzが潰れてしまった……。こうなってはいけないので、店をオープンする前、「誰もここに到達できないような店にしよう」と思いました。「いまからウチがやっても、waltzに追いつくのは難しいな」と感じられるような店にしていかなければいけません。そのためにも、仕入れにチカラを入れて、知識にもチカラを入れていかなければいけません。
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