松坂大輔を悲劇の負傷に追い込んだ、“過剰ファンサービス”の行方:赤坂8丁目発 スポーツ246(2/3 ページ)
中日ドラゴンズの松坂大輔投手が、右肩を負傷した。ファンから右腕を強く引かれ、その影響によって右肩に炎症が見つかったわけだが、この“事件”は球団だけでなく、プロ野球界にも波紋が広がりつつある。どういうことかというと……。
プロ野球界全体に大きな波紋
松坂にケガを負わせてしまった人物は、ほんの軽い気持ちで暴走行為を犯してしまったのかもしれないが、もう後の祭りである。中日の関係者が「どれだけ時間がかかろうとも必ず捕まえる」と怒り心頭の言葉を発していることからも、球団の姿勢としては“事件”をウヤムヤにしたまま終わらせるつもりはないようだ。
この松坂負傷に関する“事件”は当事者球団の中日だけでなく、日本のプロ野球界全体に大きな波紋を投げかけている。ここまで徹底化が図られていた「ファンサービス」を見直さなければならなくなりそうだからだ。
実はこの“事件”が発生する前から、NPB(日本野球機構)やセ・パ12球団の関係者は「現在行っているファンサービスは本当に目的を達成できているのか」と疑問を投げかけていた。なぜこのような声が出てくるのかというと、選手グッズの転売である。ネットを使ったオークションやフリマが普及した今、それを悪用して儲けようとする輩が続出しているのだ。
例えば、選手のサイン。個人が所有する目的でもらうのであれば、もちろん何の問題もない。しかし選手から聞いた話によれば、差し出された色紙に自ら名前と日付を入れようとすると、なぜか相手が「やめてください」と断るケースが最近増えているという。その点についてセ・リーグ主力選手が、こう補足する。
「要するに、最初から転売目的だからです。名前と日付が入っていたらサインの価値はゼロになりますし、何よりも足がつきますから。こういうケースが実際にあると、正直サインをする意味などないと感じてしまいます。ファンサービスとは名ばかりで、特定の人のための金もうけに加担することになるなんて、こんなバカバカしい話はないですよ。
だから選手やOBの中には球団から指示がなければ、サインを一切しないという人が増えつつあります。『時代に逆行する』と批判されるかもしれませんが、こうした現状をきちんと把握してほしいですね」
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