伝統は守るな、生かせ! 現代版「楽市楽座」を生んだ常識破りの挑戦:“売りたい人”と“売れる人”をつなぐ(5/5 ページ)
日本全国に伝統的な文化や技術が隠れている。それらを将来に残すための“連携”の場となっているのが、2019年に4回目を迎えるイベント「JAPAN BRAND FESTIVAL」だ。「現代版の楽市楽座」と銘打つイベントが何をもたらすのか。仕掛け人に聞いた。
伝統はただ“守る”ものではない
「JAPAN BRAND FESTIVALは本当に必要か?」と、今でも自問を続けているが、“必要性”を実感できることも増えてきた。「今年は前年よりも参加者の集まりが早く、期待の声も聞きます。イベントの認知度も上がり、地域活性化に取り組む行政の人たちが『本来なら、私たちがやらないといけない事業だ』と言ってくれるようにもなりました」
イベントが認知されることによって、JAPAN BRAND FESTIVALを「感度が高い人だけでなく、みんなが情報を取れる掲示板のような役割」にしていきたいという。そうすれば、知られずに消えてしまいそうなブランドを残すきっかけが生まれる可能性は高まる。
そのために、“伝統”に対する見方も変える必要があるという。「伝統を変えることに抵抗を感じる人が多いですが、時代に合った方法で活用してこそ、文化を守れると考えています。それで稼ぐことができれば、補助金をもらわなくても保全にお金をかけられます」
今後の課題は、JAPAN BRAND FESTIVALのプラットフォームそのものを使ったビジネスモデルを構築していくこと。イベントから発展して、さまざまな形を模索している。
「伝統は守るものではなく、使いながら、変えながら、未来へと残していくもの」。地域活性化に真剣に向き合う人たちの輪は、一進一退を繰り返しながら広がっていくだろう。
関連記事
- 「東京マラソンの仕掛け人」に聞く“ブームの作り方”
東京マラソンに構想段階から携わり続け、日本のランニングシーンを作り上げてきた早野忠昭氏に、マラソンブームをいかにして生み出したのかを聞いた。 - 5万人を引き寄せる「パン祭り」を生んだ、まちづくりへの思い
2日間で5万人が訪れた「世田谷パン祭り」。全国のパン屋のパンを買うために、最大1時間半待ちの行列もできた。人気イベントはどのように生まれ、なぜ多くの人を引き付けるのか。仕掛け人に聞いた。 - 「1本3000円」のシャープペンをヒット商品にした、“近寄りがたさ”
ぺんてるが2017年に発売した高級シャープペンシル「オレンズネロ」。1本3000円という価格でも、幅広い層に受け入れられ、ヒット商品になった。何が多くの人の心をつかんだのか。企画担当者の取り組みに迫った。 - 回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった
大手回転すしチェーンは安くてうまいすしを迅速に提供することで成長を続けてきたが、そのビジネスを支える厨房はどのようになっているのだろうか。くら寿司の新店オープンを次々と手掛ける若きリーダーに話を聞いた。 - モヤモヤ抱えるミドルへ 500人が人生相談に訪れた「昼のスナック」の秘密
平日の昼間にさまざまな人が訪れる「スナックひきだし」。2017年6月に営業を始めてから、口コミやSNSを通じて延べ500人が来店した。みんなここで何をしているのか。「ママ」を務める木下紫乃さんに話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.