チーズがビヨーンで大ブーム 「ハットグ」は「チーズタッカルビ」を超えるか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/6 ページ)
韓国式チーズドッグ(ハットグ)がブームだ。提供するお店が増えて“乱戦”状態になっている。なぜここまでブームになったのか、背景を探る。
チーズタッカルビで復活したコリアン街
2年前の新大久保では、鶏肉を野菜と甘辛く炒めた「チーズタッカルビ」という料理が大流行していた。一時期寂れていたコリアン街が活気を取り戻し、どの店もこの料理を売っているような状況だった。チーズタッカルビはコリアン街の「市場タッカルビ」という店が元祖で、辛い韓国料理が苦手な人でも「チーズを入れればマイルドになって食べやすい」と評判になった。外食業界では、若い女性向けの料理にチーズを入れるのは半ば常識で、味のバランスは考えなければならないが、極端に言うとチーズさえ入れておけばヒットメニューになるほどだ。
韓国料理とチーズの意外な相性の良さが、チーズタッカルビによって発見された。
ちょうど、韓国・日本・台湾のインターナショナルなメンバーで構成されたK-POPアイドルグループ「TWICE(トゥワイス)」の人気も浮上していた。10〜20代の女性ブロガーやユーチューバーが、韓国風美少女メイクの「オルチャンメイク」を発信して人気になるケースも出てきた。
そうした背景もあって、新大久保のコリアン街が空前のにぎわいを見せるようになった。
ドラマ「冬のソナタ」が流行して、ヨン様ブームに沸いていた頃は中高年の女性が殺到していたが、今は顧客層が極端に若くなっている。その中に、若いカップル、男女のグループ、男性グループ、外国人観光客、家族連れ、その昔韓流ブームに夢中になっていた中高年女性が混在している。
市場タッカルビで提供しているチーズタッカルビは、鉄板で焼いたモッツアレラチーズとチェダーチーズの2種類のチーズが伸びるビジュアルもポイントで、当初からインスタ映えを狙って設計された料理であった。
新大久保を訪れる若い女性たち、韓国料理とチーズの組み合わせの妙とインスタ映え、モッツアレラチーズとチェダーチーズ。ありらんが繁盛した背景にはこうしたものがあった。
関連記事
- 横浜家系ラーメンで“天下取り”目指す「町田商店」の野望
横浜家系ラーメンがブームになって久しい。ついに大手チェーン「町田商店」の運営会社が上場した。またたく間に店舗数を増やしている秘密は何か? - 「回転しない寿司」路線から6年 元気寿司が思い知った“意外な効果”
大手すしチェーンの元気寿司が「脱・回転」路線を打ち出している。回転レーンをやめて、注文された商品のみを特急レーンで提供。国内の152店のうち122店を「脱・回転」させた結果、思わぬ効果が生まれた。 - ライバルと明暗 栄華を誇った「小僧寿し」だけが大きく苦戦した理由
かつて2300店超を誇った「小僧寿し」だが、近年は回転すしや持ち帰りすしチェーンの猛追で苦戦していた。同じ持ち帰りのチェーンが踏みとどまってるのになぜ小僧寿しだけ苦戦しているのか。 - すし屋「久兵衛」VS. ホテルオークラ 泥仕合の背後に“下剋上”への脅えと焦り
高級すし店「銀座 久兵衛」がホテルオークラともめている。背景にあるのは高級すし店とホテル業界の競争激化による地位低下だ。転落しようとしている両者が抱く焦りとは。 - 回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった
大手回転すしチェーンは安くてうまいすしを迅速に提供することで成長を続けてきたが、そのビジネスを支える厨房はどのようになっているのだろうか。くら寿司の新店オープンを次々と手掛ける若きリーダーに話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.