チーズがビヨーンで大ブーム 「ハットグ」は「チーズタッカルビ」を超えるか?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
韓国式チーズドッグ(ハットグ)がブームだ。提供するお店が増えて“乱戦”状態になっている。なぜここまでブームになったのか、背景を探る。
スピーディーな店舗展開
ありらんは日本に商機ありと見て、競合に市場をおさえられる前にスピーディーに店舗展開しようと直営店のみならずFCも募集している。
ありらん運営会社の公式Webサイトによれば、平均客単価は400円台とワンコインで購入できるうえに、原価率が25%と低く、3坪からお店が出せるという。そのため、賃料の高い駅前や繁華街でも出店コストを抑制できるメリットを強調している。
ありらんは東京や大阪などに11店を展開している。富士急ハイランド(山梨県富士吉田市)に売店を出したり、原宿ではフードコートとカフェの実験店も始めたりといった具合に、意欲的な取り組みを進めている。
ライバルの動向
ライバルにあたる店も負けていない。「ジョンノホットク(ジョンノハットグ)」は東京、大阪に7店ある。特に、新大久保には3店もあって最大勢力となっている。新大久保駅から1番近い店はジョンノであり、立地の点で有利だ。
17年6月にはハットグがメニューにあったようで、日本では最初に売った店と言われている。同店は1995年に創業した韓国屋台菓子・料理の店で、韓国風おやきのホットクをメインに売ってきたが、今はハットグがメインとなった。原宿、渋谷といった若い女性が集まる場所ばかりでなく、大阪にあるコリアン街の鶴橋にも出店しており、要所を押さえている。
「青春ホットドッグ」は新大久保と歌舞伎町に店舗があり、タピオカ「BULL PULL」との共同出店。ハットグとタピオカが同時に楽しめるのが売りになっている。歌舞伎町店は2階にゆっくりできるカフェスペースがある。
このほか、さまざまな蛍光色のチーズが特徴の「レインボーモッツァレラハットグ」、韓国で35店を展開している「88(パルパル)ホットドッグ」の日本1号店なども新大久保に店舗を構えており、乱戦状態となっている。
一方、ありらんでは、警備員を雇ったり、1号店でのドリンク提供を中止したりといった努力が実り、通行の邪魔になるような混雑はなくなってきている。各店、ゴミ箱を設置しており、一時期報道された串や包装紙が道に散乱している惨状も改善された。
チーズタッカルビの先例のように、今後は日本の大手も市場に参入してくるだろう。急に店舗数を拡大しても果たして定着できるかという問題もある。韓国発のハットグはどこまで店舗を伸ばせるか。動向を注視したい。
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