マネーフォワードがR&Dを行うラボを設立 家計簿などユーザーデータ活用:膨大な金融データを生かす
家計簿サービスを提供するマネーフォワードが、お金に対する漠然とした不安や課題を、テクノロジーとデータの活用で解決するための研究所「Money Forward Lab」を設立した。所長にはYahoo! Japan研究所の設立に携わった北岸郁雄氏が就任した。
家計簿サービスを提供するマネーフォワード(東京港区)が、お金に対する漠然とした不安や課題を、テクノロジーとデータの活用で解決するための研究所「Money Forward Lab」を3月1日に設立した。所長には、同様の企業内研究所であるYahoo! JAPAN研究所の設立に携わった北岸郁雄氏が就任した。
研究テーマとしては、マネーフォワードが持つデータを活用でき、実現性が高い領域にフォーカスする。機械学習や自然言語処理を用い、家計改善や資産形成コンシェルジュ、高精度自動仕訳の実現を目指すものや、画面を使わない音声などのユーザーインタフェースなども検討する。
「マネーフォワードのユーザーは、過去のデータを見ただけでは、次に何をやればいいか必ずしも分からないのが現状。データを活用して、次のアクションを明確にできるようにしたい。食費を少し抑えるべきである、抑えるならこうするべきである、浮いたお金はこういう運用に回す、といったイメージ」(北岸氏)
研究のベースにあるのは、ユーザーが日々記録している家計簿という膨大なデータだ。「(ユーザーが)銀行口座を登録していれば、収入規模などがすべてデータとして分かる。キャッシュレス化が進めばもっと消費のデータも取得できる。マネーフォワードが預かっているデータは、現在提供できている価値以上の可能性がある」と、同社CTOの中出匠哉氏は話す。
これまでも、家計簿データを用いて大学などと共同で研究してきたが、センシティブなデータのため外部へのデータ共有に限界があった。社内に研究所を設けることで、より柔軟な研究が可能になる。それぞれの研究期間としては、短いもので1年程度を想定する。
研究所の人員数などの規模は未定だが、「他社の研究・開発(R&D)投資をベンチマークとして、売上の一定割合のコストを投下するイメージ」(中出氏)とした。
関連記事
- マネーフォワード、仮想通貨交換サービス2019年春の開設目指す
マネーフォワード子会社のマネーフォワードフィナンシャルは、2019年3月の仮想通貨交換サービスの提供を目指す。金融庁の規制は厳しくなり、登録の難易度は増しているが、それが今後日本の事業者にとって海外進出のアドバンテージになるという見方を示した。 - 面倒な経費精算がスマホで完結 交通費も自動取り込み「MFクラウド経費」
マネーフォワードが経費精算・申請アプリ「MFクラウド経費」をリリース。クレジットカードの明細やSuicaの利用履歴を自動で取り込む。 - ドコモが信用スコア提供 金融機関が融資に利用
携帯電話契約者の情報を使った信用スコアの提供に、NTTドコモが乗り出す。ビッグデータを解析して得た信用スコアを金融機関に提供し、金融機関は融資の際の審査に利用する。第一弾として、新生銀行が個人向けの無担保小口融資を2019年3月から提供する予定だ。 - マネーフォワードがクーポンアプリ「tock pop」スタート
マネーフォワードがクーポンアプリに参入。当初は12社のクーポンを取り扱う。マネーフォワード MEのIDとパスワードからログインが可能。 - 会計ソフトのマネーフォワード、9月にマザーズ上場か
家計簿アプリや会計ソフトを手掛けるマネーフォワードが東証マザーズに上場すると一部が報じた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.