新元号を「フレームワーク思考」で予想してみた:まもなく発表(2/4 ページ)
今年4月1日に新元号が発表され、5月1日より実際に用いられる予定です。今回は、その新元号の候補について、フレームワーク思考で検討してみましょう。
自明のものもありますが、いくつかは補足しましょう。まず「1-b)音としても不吉さがなく、語感がいい」は、例えば「壮義」では「葬儀」を連想させるためダメということです。死や苦をイメージさせる「し」や「く」と読める漢字も、一文字では使わない方がよいでしょう(組合せ次第ではありますが)。
「2-a)小学生でも読み書きできる」は、日本国民がみな元号を使うことを考えると非常に大事です。過去には「白雉(はくち)」や「霊亀(れいき)」といった元号もありましたが、現代では少なくとも、小学校の中学年以上が読み書きできない(あるいは間違いやすい)ような漢字は避けられるでしょう。ちなみに、明治以降の4つの元号は、すべて小学4年生までに習う漢字です(ただし、昭の字は、昭和を書けるようにするために4年生で習うようにしたという可能性もあります。なお、小学生が学年ごとに習う具体的な漢字は、「別表 学年別漢字配当表」をご参考ください)。
「2-b)総画数が多くない」も忙しい現代人にとっては重要でしょう。例えばかつて「観応」という元号がありましたが、「観」はこれだけで18画になってしまいますので、恐らく採用されないでしょう。ちなみに、平成は全体で11画、昭和は17画、大正は8画、明治は16画です。これを考えると総画数の上限は20画未満がめどではないでしょうか。
「3-a)ローマ字の頭文字が、明治以降のM、T、S、Hではない」は書類記入やデータ管理のシーンなどでは非常に大切で、特に最近の元号の頭文字であるSやHになることはまずないでしょう。Nですら、HやMと間違いやすいので避けるべきという向きもあります。これはかなり強い制約になりそうです。ほぼノックアウトファクター(その項目について×なら、他の条件が良くても候補から除外される強い制約条件)といってもいいでしょう。
「3-c)漢字や音が他の言葉と紛らわしくない」もある程度は重要です(1-bと多少重なります)。例えば「安」も「弘」もかつて元号に使われた文字ですが、「安弘(アンコウ)」では魚のアンコウのようですし、「弘安(コウアン)」は公安や考案と音もアクセントも同じです(実はすでに使われてもいます)。ただし、平成も音としては平静と同じでしたし、発表された当初は「平城京」の平城と紛らわしいなども意見もありました。これについては3-aほどの重要度はないと言えるかもしれません。
「4-a)安易に時代に流されていない」は、例えば一般向けのアンケートでは人工知能(AI)から連想した「栄合」などの案も出るそうですが、これは現在たまたま話題になっている言葉であり、数十年用いる元号には好ましくないといったことです。
「4-b)過去の元号と紛らわしくない、あるいは最近元号に使われた文字でない」は議論が分かれそうですが、例えば安平(あんへい)は平安の逆の上に、前の年号である平成と一文字重なるため避けた方がいいということです。過去には「正和」と「昭和」のように読みが同じ元号もありましたが、これは避けられるべきでしょう。
「4-c)政治との距離感がある」も議論が分かれそうですが、個人的には意識すべきポイントと考えます。具体的には、時の総理大臣や権力者の名前に使われている文字を用いるべきか、といったことです。これについては後ほど具体例で検討しましょう。
ちなみに、この他にも「発表前にマスコミにスクープされたものは外す」というルールもあるようですが、現時点ではこの条件は割愛します。
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