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海外で増え続ける「一風堂」 運営会社に聞いた進出の苦労とラーメンの味:海外に100店超(4/5 ページ)
「一風堂」を運営する力の源(HD)が海外展開を進めている。海外の店舗数が国内を抜きそうな勢いだ。現地でラーメンをどのようにつくって売っているのか?
海外展開の難しさ
海外展開をする上での難しさはどこにあるのだろうか。
矢野氏はさまざまな政治リスクを挙げる。例えば、これまで地元政府に許可を受けて1年以上営業してきた店舗が、ある日突然「●●の基準を満たしていない」と指摘され、罰金の支払いを求められることもある。
また、1号店の出店から歳月が経過し、現地の商慣習や政府とのやりとりについて一定の知見が得られていたとしても、許認可の問題などで新店オープンが半年以上遅れることもあるという。
矢野氏は「走りながら考え続けるしかない」と説明する。中国をはじめアジアは急激な経済成長を遂げている。そのため、さまざまな規制やお客のニーズは日本とは比べものにならないスピードで変わっていく。海外進出を進めた当初は、日本の本社がさまざまな意思決定をコントロールすることが多かったが、現地への権限移譲を進めることで、迅速に対応できる体制を構築しようとしている。
力の源HDは2025年までに海外の店舗数300店を目指す。2018年3月期の売上高は244億5000万円(前期比9%増)、経常利益は8億7000万円(61.6%増)。売上高の内訳をみると、国内店舗が150憶5000万円(2.8%増)だったのに対し、海外店舗は62憶4000万円(28.7%増)と、海外事業の伸びが顕著だ。いずれは、海外事業の売り上げが日本を超えるかもしれない。同社は世界的なラーメンチェーンとして成長できるだろうか。
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