「バイトテロ」が繰り返される真の理由 大戸屋一斉休業で問う:企業・アルバイトたたきの欺瞞(3/4 ページ)
3月12日に大戸屋が一斉休業するなど社会問題化する「バイトテロ」。そのメカニズムと真の対応策について専門家に聞いた。
炎上阻止、企業には不可能?
大戸屋が炎上対策に大きく舵をとった今回のケース。ただ、繰り返されるこうした炎上事案自体を止めることはできるのか。後藤さんは「炎上を100%防ぐことは不可能。今起きている炎上事案は全く目新しくない」と断言する。最近では18年末ごろから騒がれるようになったとされる一連の「バイトテロ」だが、後藤さんによると現在のようなパターンの炎上が多発し始めたのは13年前後にさかのぼるという。
当時は08年にTwitterとFacebookが日本上陸するなど、今親しまれているSNSサービスが日本に登場し、普及し始めた時期に当たる。さらに後藤さんが重要視するのが、12〜13年ごろにスマートフォンの国内普及率が50%を超えたタイミングだ。
「スマホから誰でもその場でTwitterに投稿できるようになった。ガラケー時代と違い、無料のスマホアプリの普及で誰でも簡単に画像や動画を撮影・加工できるようになった点も大きい」(後藤さん)。合わせてTwitter上でインフルエンサー(SNSなどで影響力の大きい人物)やYouTuberが人気となり、一般人も「自分もHikakinみたいになれるのでは」などと思うようになった時期と一致する。
後藤さんによると、まさに13年でもそば店やピザのフランチャイズ店などが、現在と同じ「バイトテロ」で閉鎖するなどの被害を受けていた。当時は飲食各社が従業員教育の強化を表明、その後は比較的沈静化していたという。
最近こうしたバイトテロ問題が再燃している背景として、後藤さんは13年ごろの炎上ニュースを知らない世代がバイトとして入ってきているほか、深刻化する人手不足で学生バイトの質を飲食店側が保てなくなっている可能性を指摘する。
誰でも情報を発信できる「一億総メディア」の時代、繰り返されるのはある意味必然と言えるこうしたSNS上の炎上問題。ワイズワークスプロジェクトの武田社長も「(大戸屋のような対策は)私たちから見ると、企業の対応を超えている」といい、本来企業側ができることには限界があると指摘する。
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