アルコール6%なのに「ストロングゼロ」 新商品を出すサントリーの狙い:これまでは9%(1/2 ページ)
安くて気軽に酔える点が支持されているストロングゼロ。これまではアルコール度数が9%だったのに、6%の新商品が発売される。狙いをサントリーに聞いた。
サントリースピリッツは「-196℃ ストロングゼロ〈瞬感レモン〉」と「-196℃ ストロングゼロ〈瞬感ライム〉」を4月2日に発売する。350ミリリットルで、希望小売価格は141円(税別)。
これまでの「ストロングゼロ」シリーズはアルコール度数が9%と高めに設定されており、安くて気軽に酔える点が消費者に支持されていた。ストロングゼロの爆発的なヒットを受けて、競合他社がストロング系チューハイを次々と出すに至った。
しかし、4月に発売される瞬感レモンと瞬感ライムは、同シリーズで初めてアルコール度数が6%と低めに設定されている。どのような狙いがあるのだろうか。
RTD市場が伸びている
ストロングゼロシリーズは近年著しく伸びている「RTD市場」を攻略するカギとなる商品だ。RTDとは「Ready to Drink」の略語で、そのまますぐ飲める缶に入ったチューハイやカクテル、ハイボールなどのアルコール飲料を指す。
サントリースピリッツが19年3月に発表した「RTDに関する消費者飲用実態調査」によると、18年のRTDの市場規模は2億492万ケース(対前年比112%増)と、はじめて2億ケースを突破し、11年連続で前年を上回った(1ケースは250ミリリットル×24本換算)。市場規模は過去最大を更新し続けており、19年は2億2637万ケース(110%増)と見込んでいる。
なぜ、RTD市場が伸びているのだろうか。同調査によると、自宅でお酒を飲む機会が「増えた」と回答した人は30.1%となっており、「減った」と回答した人(12.1%)を上回っている。さらに、自宅で食事中にRTDを飲む機会が増えていることも明らかになった。背景にあるのは、職場の同僚などと外で飲む機会が減っていることや、飲酒運転に対して厳しい目が向けられるようになってきたことなどが考えられる。
このように、ストロングゼロをはじめとするRTDは「家飲み」需要の拡大を受けて伸びている。広報担当者は、アルコール度数が6%のストロングゼロを発売する意図について「ストロングゼロの魅力は高アルコールにある捉えているお客さまも、週の半ばには(自宅で)アルコール度数が高くないものを飲みたいと考えているようだ」と説明した。
「RTDに関する消費者飲用実態調査」のWebサイトには、夫婦と思われる2人が家飲みをしているイメージ画像が掲載されている。男性の隣にはアルコール度数9%のストロングゼロ、女性の隣にはアルコール度数が6%のストロングゼロがそれぞれ置いてある。4月に発売される新商品のターゲットの1つが低アルコールを求める女性なのは明らかだろう。
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