ニュース
建て替えで揉める「老朽化マンション」 住民合意の「秘策」とは?:人間関係がこじれると「ご破算」に(6/6 ページ)
老朽化マンションが進む一方、建て替えられたマンションはごくわずか。建て替えとなると住民合意の取り付けや資金負担の問題もあってなかなか実現しないからだ。建て替えを成功させるノウハウをプロに聞いてみた。
役員は世話役に徹すべし
以上が取材内容だ。今回取り上げた事例は住民合意の取り付けも比較的スムーズに進み、建て替えに伴う住民の負担も少ないなど、条件的には恵まれていた。しかし、これから建て替えが必要となるマンションの多くは、容積率の緩和は期待できないケースが多く、住民の追加負担が増えそうだ。そうなると住民の意見が割れて合意形成は簡単にはいかない。花房副所長が強調するように「建て替えの機運が高まるところまで持っていくのが重要」になってくる。
住民のまとめ役となる住民代表の動き方もポイントになりそうだ。調布のケースのように、人間関係がこじれるとまとまる話もまとまらなくなる恐れがある。その意味で、委員長や理事といった役員になる人は、世話役に徹するべきだ。立場上、前に出がちだが、自分の意見を言うのは極力控えてわき役として動いたほうが最終的にはうまくいくことを示唆している。
これからは住民の中に高齢者の割合が増えてくるため、どうしても多くの資金負担が伴う建て替えには消極的になりがちで、世代を超えた住民の合意形成が必要になる。大規模修繕や建て替えといったマンション全体にかかわることには、他人任せで無関心の住民が多い。その中で、建て替えという住民ムーブメントを作り上げるのは並大抵のことではない。建て替えが進むかどうかは、「マンション民主主義」が機能するかどうかにかかっている。
関連記事
- 増税前に買ってはいけない! 「虚大都市・東京」のマンション事情
「東京は永遠に輝き続ける」という「不滅神話」がはびこる東京のマンション事情。しかし2カ月連続で値下がり傾向が出るなど異変の兆候が出ている。消費税増税に金利上昇と、不確定要素がある中で何を参考に売買を決定すればいいのだろうか。 - ブラック企業だけじゃない 「ワンオペ管理職激増」の深層
長時間労働、ワンオペ地獄、給料が上がらない、人材に投資しない……。「働き方の不条理」はなぜ生まれるのだろうか? - 元国税局職員が明かす「確定申告」の注意点
元東京国税局職員で、現在はフリーライターの筆者が「確定申告」の注意点を解説する。 - コンビニオーナー残酷物語 働き方改革のカギは「京都」にあり
「働き方改革」の時流に逆らうかのように「24時間営業」を止めないコンビニ。その裏では、オーナーに「過労死ライン」の労働を強いている実態がある。そんな中、24時間を止めても純利益を8%増やした京都のオーナーが、メディアの取材に初めて実名で応じた。 - 2カ月、5万円で会社設立! 「社会保険料の節約」に悪戦苦闘した元公務員の“生存戦略”
3年間迷った挙句、家族の反対を押し切って公務員を辞め、フリーライターになった筆者。意外にも収入水準は前職並みに近づきつつあった一方、難題にぶつかった。それは「国民健康保険」の支払い――。会社員と違って重い負担を要する保険料を節約するために動き出したのだが……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.