大塚家具はどこへ行くのか:社長は退くべき(2/3 ページ)
父娘で繰り広げた委任状争奪戦から約3年半。久美子社長の「アンチフォーカス戦略」が大塚家具にもたらしたのは業績悪化と急速な資金繰りの悪化である。今回の矢継ぎ早の提携策には派手さはあっても根本的な経営立て直しにはつながらない。打つべき手は他にある。
ここで改めて、大塚家具にとって業績回復の決め手になるようなビジネスがこの一連の提携策から生まれるのかと聞かれると、正直、首をかしげざるを得ない。なぜなら大塚家具にとって最大の市場である国内実店舗でのマーケティング、販売戦略の修正がなされていないからだ。
この数年の業績悪化は明らかに久美子社長の中途半端な戦略が招いた経営危機だ。多くの人が誤解しているが、久美子社長が打ち出した戦略はイケアやニトリの後を追っての「低価格戦略」ではない。元々大塚家具が得意としていた高級家具路線に加えて中級価格帯向けにも拡充する「拡張戦略」なのだ(図1参照)。「アンチフォーカス戦略」といって差し支えない。
このことについては以前、当コラム記事で2度ほど採り上げ、この戦略方向性の間違いを指摘したことがある(でも同窓ゆえに心情的には頑張ってほしいという複雑な思いも同時に吐露した)。
その戦略の行く末は小生が予想した通り非常に厳しい結果で、残念ながら同社はこの数年、業績悪化の道を突き進んできたようだ。この結果が示すのは第一に、久美子社長が狙った中級価格帯はもはや「ボリュームゾーン」ではなく、むしろ2極化する市場における縮小セグメントだということだ(図2参照)。そして第二に、久美子社長の戦略方針を嫌った富裕層既存客の多くが大塚家具から離反してしまった可能性が高いということだ。
注)なお、この中級価格帯で健闘している企業(ワイス・ワイスなど)も存在しているが、大塚家具にそうしたきめ細かな適応戦略は見当たらない。
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