働き方改革を「やってよかった」は少数派。「元のままでいい」「やらされている」と現場が感じる理由:「テレワーク=サボり」と疑う上司(3/3 ページ)
リクルートマネジメントソリューションズがこのほど、「働き方改革が成果につながっている企業は少ない」との調査結果を発表。同社の研究員とコンサルタントが、その要因を解説した。「残業をしてはいけない」などという型を押し付けているだけで、企業の仕事内容や評価制度を変えない企業が多いためという。
働き方改革を「自分ごと」に捉える風土づくりを
以上の指摘を基に、働き方改革によって効果を得る方策をまとめると、(1)部署間が連携し、ビジネスモデルや評価制度の見直しなどの根本的な改善を行うこと、(2)在宅勤務やテレワークを認めつつ、性善説に依拠して利用を促進すること、(3)心理的安全性の高い組織作りを行い、構成員の特性に応じたタスクを課すこと――の3点に集約される。
ただ、「改革の主人公をどこかだけに負わせると改革は進まない」(武藤氏)。1つの要素の浸透にこだわるのではなく、広い視野を持って複数の要素を並行して進めることが、働き方改革を成果につなげる上では重要になりそうだ。
武藤氏によると、改革が成果につながっている企業では「平日休みから土日休みに変更する」という改善策が浮上したが、現場の社員が「顧客のためにならない」と拒否した。その一方で、現場側と経営陣が丁寧な対話を重ね、業務用PCのシャットダウン前倒しやRPA(Robotic Process Automation)導入によって営業日の生産性を高める方針で合意し、順調に運用されているという。このように現場の声が経営層に届き、お互いが責任感を持って議論できる風通しのよい環境では、働き方改革が成果を生みやすいのだ。
今や “バズワード”と化しつつある働き方改革だが、こうした取り組みによって、経営陣からの「お仕着せ」から社員による「自分ごと」に捉え方を変えることが、「やってよかった」と感じられる成果につながるといえよう。
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