働き方改革を「やってよかった」は少数派。「元のままでいい」「やらされている」と現場が感じる理由:「テレワーク=サボり」と疑う上司(2/3 ページ)
リクルートマネジメントソリューションズがこのほど、「働き方改革が成果につながっている企業は少ない」との調査結果を発表。同社の研究員とコンサルタントが、その要因を解説した。「残業をしてはいけない」などという型を押し付けているだけで、企業の仕事内容や評価制度を変えない企業が多いためという。
テレワークする部下を「サボるのでは」と疑う上司
テレワークなど場所を選ばない働き方の重要性も高まっているが、これらに対しても、上司が部下に「忠誠心が下がるのでは」「評価が難しくなるのでは」「サボるのでは」と邪推するケースがあるため、なかなか定着しないとしている。
テレワークなどの利活用を浸透させるためにも、藤澤氏は「日本企業はお互いが信頼し合える組織を構築すべきだ。米Googleも『チームの生産性を高める唯一の方法は心理的安全性だ』という調査結果を発表している」と説く。
心理的安全性が高い組織は、ある程度の失敗が許されたり、助け合う風土があったりといった「安心感」と、明確な役割分担や厳しく指摘し合える風土などの「責任感」の両方を兼ね備えている点が特徴。特に後者が欠けると“ぬるま湯”になってしまうため、構築に当たってはマネジャーの手腕が求められる。
一方、働き方改革が成果につながらない企業では、こうした風土が醸成されていない。「上司は部下を信用しておらず、部下も『今のままでいい』『どうせ元に戻る』といった『改革疲れ』や『やらされ感』を持つのはそのためだ」(藤澤氏)としている。
風潮に流された「ダイバーシティー推進」は効果薄
また、組織を構築する上では、多様な国籍・性別・価値観の人材を登用する「ダイバーシティー推進」を働き方改革の一環で取り入れる企業も多いが、これも安易に取り入れるだけでは成果は生まれないという。
「女性や外国人など多様な人材を集めたところで、従来と同じ業務を任せても目立った成果は上がらない。どんな人にどんな仕事が向いていて、どんなプロセスが適しているのか、事前に方針を策定した上で業務内容を決めるべき」だとリクルートMSシニアコンサルタントの武藤久美子氏は説く。
残業削減などと同様、本質を理解しないまま、風潮に流された形でダイバーシティーを推進しようとしても、なかなか目立った成果にはつながらないようだ。
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