先輩の「就活は楽勝だった」は、本当か:超売り手市場(2/3 ページ)
人手不足倒産など圧倒的売り手市場が続く新卒学生の就活。各大学や大都市では合説(合同企業説明会)が行われ、たくさんの学生であふれかえる……はずですが、実際何が起こっているのでしょうか。大学のキャリア支援の場から見てみたいと思います。
超売り手市場なのになぜでしょう?
・ガラガラの就活セミナーや説明会
大学や就活情報会社が主催する就活セミナーや企業説明会は、経団連指針はあるものの、実はすでに3月1日の解禁日前に全国で行われています。一応「就活説明会」ではなく、「指針」が禁じていないキャリア勉強会やキャリアセミナーという名目で行われているものですが。
ただ、こうしたセミナーや説明会の参加状況は、私が知る限り決して芳しくはないようです。中には昨年に比べて参加学生が半減してしまったというセミナーや、学内開催なのに用意された席の6割程度しか埋まらないものも珍しくないという声を聞きます。程度に差はあれこうした事象は全国の大学で起こっているようです。
セミナーに来る来ないは全く持って学生の自由ではありますが、大学キャリアセンターも例年に比べて動員が落ちていると感じるのは全国的状況のようです。深刻なのは就活情報会社の主催する合同説明会で、大学のような母数が確保できない分、当日の動員状況は水物。3月でも雪が降るようなことがあれば一気に来場者は激減します。
結論からすると、シーズン前半の1月辺りはかなり来場者が少なかったものの、尻上がりに増えて、3月の合同説明会はかなり回復したといえる気がします。それでも従来に比べれば、動員は下がっている印象です。これは大学主催、情報会社主催を問わずです。
・すでに絞り込み始まる!?
超人手不足! といわれながらも、実は製造業、流通サービス業や接客、飲食など、一部の業界が主で、学生の多くか志望する名の通った大企業などでは、昨年も今年も決して売り手どころか、超有名大の学生であってもガンガン落としていました。一流企業・有名企業は売り手市場でないことは明白です。
私が大学勤務を始めた15年前、リーマンショックが始まるまでは超売り手市場でしたが、2008年にリーマン破たんとなる前から予兆は出ていました。これまでなら採用されるであろう学生が苦戦する例が出始め、採用への手ごたえが変わり始めたのです。まあしかしあくまで採否は個人がベースなので、まさかその後「超」氷河期と呼ばれるほどの事態になるとは思いませんでした。
今の採用環境はまだまだ圧倒的人手不足です。ただしそれは小売業や接客サービス、製造現場などに集中しており、学生から人気のある一般事務職や企画職などは、偏差値序列の高い大学でもきわめて限られており、むしろ大企業では派遣やアウトソースできる単純労働で正社員を雇う方が例外的となりつつあります。
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