「あなたの強みは何か?」に、どう答えるか:的確に表現すること(1/4 ページ)
ドラッカーが盛んに強調したように、個人にとっても組織にとっても、「強み」は非常に重要である。では、あなたの強みは何か? と聞かれて、どのように答えればいいのか。
著者プロフィール:
川口雅裕(かわぐち・まさひろ)
組織人事コンサルタント (コラムニスト、老いの工学研究所 研究員、人と組織の活性化研究会・世話人)
1988年株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報および経営企画を担当。2003年より組織人事コンサルティング、研修、講演などの活動を行う。
京都大学教育学部卒。著書:「だから社員が育たない」(労働調査会)、「顧客満足はなぜ実現しないのか〜みつばちマッチの物語」(JDC出版)
ドラッカーが盛んに強調したように、個人にとっても組織にとっても、「強み」は非常に重要である。個人にとっては、強みこそが組織における存在意義であり、組織への貢献や良質なキャリアを積み重ねるための手段である。強みがなければ存在意義は希薄になるし、貢献の機会も少なくなるから、キャリアも平凡なものに終わってしまう。
組織にとっては、多様な(バラバラの)強みを持つ個人が集まることが重要で、個々が持つ強みが多様であれば、多様な顧客への対応力が高くなり、環境変化に耐える力も強くなる。同じような強みを持つ人をそろえても、顧客の多様性には対応が難しいし、環境変化にももろい。(個々に大した強みがなければ、余計にそうだ。)『強みに集中せよ』は、このような意味である。
そんなことは改めて言われなくても当たり前と感じるかもしれないが、実際に「あなたの強みは何か?」と問われて、即答できる人はかなり少ない。自分の強みについて、しっかり考えたことのない人が圧倒的に多いのが現実だ。これでは、個人としてどのように組織に貢献するかが明確でならないし、強みが曖昧な人たちをマネジメントしなければならない立場の人も難しい。
こうなってしまう根本的な原因は、強みがなくても、曖昧であっても仕事と報酬を与えられる日本特有の「正社員制度」にあるが、正社員だから強みを考えてなくてもいいということにはならない。「私の強みは何か?」を問い、言語化して自覚することが、組織への貢献度を高め、優れたキャリアを築くためには最も効果的な方法であるからだ。
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