ドタキャンが日本の10倍! 韓国の高級レストランがとった対策とは:多重予約に苦しむ(1/3 ページ)
飲食店の無断キャンセルが日本で社会問題化している。韓国のある高級レストランではドタキャンに苦しんでいた。どのような対策をしたのだろうか。
飲食店の無断キャンセル問題が注目されている。経済産業省の発表によると、予約をしていながら事前連絡もなく来店しない「無断キャンセル」は、国内の飲食店における予約全体の1%弱を占めており、年間の損失額は約2000億円に及ぶとされている。飲食店にとっては、用意した食材が無駄になるだけでなく、売り上げの機会損失にもつながる頭の痛い問題だ。
この無断キャンセル問題は日本だけでなく、韓国でも発生しており、日本とはやや異なる背景もあるという。店舗の予約管理・顧客管理ツール「TableSolution(テーブルソリューション)」を韓国の高級ホテルなどに売り込んできたTableCheck(テーブルチェック、東京都中央区)の谷口優社長らに話を聞いた。
ドタキャンが横行していた
テーブルソリューションは、予約をしたお客のドタキャン(直前キャンセルや無断キャンセル)を防止するために、クレジットカード決済機能を備えている。お客はネットで予約する際、クレジットカードの情報を入力しないといけないので、ドタキャンをするとキャンセル料が自動的に徴収される仕組みになっている。その他、電話予約の取りこぼし防止、顧客管理、多言語対応などの機能が支持され、日本国内では高級ホテルのレストランや席数の少ない高級店など、約3300店で導入されている。
同社を創業した谷口社長はもともと世界的な展開を狙っており、17年に韓国に進出した。19年3月時点で、「CONRAD Seoul(コンラッド ソウル)」や「Park Hyatt Seoul(パークハイアット ソウル)」といった超高級ホテルのレストランや、客単価の高い中華レストランなどにテーブルソリューションが導入されている。グローバルな戦略立案を担当する同社の森平アレックス氏は、進出当時の高級レストランを巡る状況について次のように説明する。
「予約の80〜90%を電話で受け付けていたところが多かったです。電話予約をしたお客さまに対してはリマインダーをするのが実質的に難しいので、直前キャンセルや無断キャンセルの数が予約全体の10〜15%を占めているレストランもありました」
接待やデートのために複数の店舗を同時に予約する悪質なケースもあるという。韓国は上下関係が日本より厳しいので、宴会をする店舗を上司の顔色をうかがいながら決めることがあり、それがドタキャンを生み出す文化的な背景にもなっている。
経産省の調査では、日本の飲食店における無断キャンセルの割合は1%弱なので、韓国の高級レストランは10倍以上のドタキャンに苦しんでいたといっても過言ではない状況だったのだ。
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