首都圏の鉄道で続々登場する着席サービス、背景にあるのは?:「座りたい」(3/4 ページ)
首都圏の私鉄各線で着席サービスが増えてきた。JR東日本では「中央ライナー」「青梅ライナー」を特急化。「座って通勤」の需要に応える動きが続く。
増える着席列車、各社が力を入れる
私鉄各社では座席指定の着席列車に力を入れている。東武東上線の「TJライナー」の成功を機に、西武「S-TRAIN」「拝島ライナー」、京王「京王ライナー」と続いていく。これらの列車は東急「Q SEAT」とは異なり、全車指定の列車である。
その一方で、JRの特急も通勤客を相手にし始めた。高崎線方面の「スワローあかぎ」、常磐線の「ひたち」「ときわ」ではチケットレスサービスでの乗車も可能で、多くの利用者が定期券と併用している。
そしてこの春のダイヤ改正で、中央線特急では「あずさ」「かいじ」に加え、「はちおうじ」「おうめ」が加わった。それぞれ八王子行き、青梅行きと近距離特急である。「中央ライナー」「青梅ライナー」といったこれまでの座席指定の通勤ライナーを特急に格上げし、一部ではサービス悪化と厳しい評価を受けているものの、新車E353系を投入し、単なる特急の間合い運用(本来の目的である運用の合間を利用し、副業的な運用を行うこと)ではない、といった意気込みを感じさせる。
私鉄特急の通勤利用も盛んだ。小田急電鉄では東京メトロから直通するロマンスカー「メトロホームウェイ」を運行し、多くの人が利用している。そのほかにも新宿からの「ホームウェイ」を多数運行、ネット予約システムと合わせて高い利便性を確保している。
東武鉄道では浅草から各方面に特急を運行。春日部などの近距離の停車駅を増やすだけではなく、東武アーバンパークライン(東武野田線)に乗り入れる特急なども設定し、帰宅客向けの運行に力を入れるようになっている。
西武鉄道では新型特急001系「Laview」をこの春から運行開始。秩父エリアの観光だけではなく、通勤客の利用も期待できる。だが、なかなか朝の時間帯の座席指定列車の運行は難しい。都心発の列車は可能でも、都心着となるとダイヤ上設定は困難だ。
小田急の「モーニングウェイ」など、朝時間帯の意欲的な取り組みは行われている。そのラインアップに京王電鉄「京王ライナー」が加わった。
平日には京王八王子発2本、橋本発2本と、ピーク時には困難でありながらも混雑の激しい京王電鉄でも着席サービスを行うことになった(土休日は京王八王子発1本、橋本発1本)。
関連記事
- 東京の鉄道路線に欠けているものは、何か
東京の鉄道網は充実している。しかし、である。山手線の外側を出ると、細かな移動はバスにたよる人も多いのでは。利便性を高めるために必要なのは……。 - 首都圏の鉄道で何が進んだのか “接続しなかった”相鉄もとうとう
平成時代の首都圏の鉄道を振り返ると、直通・乗り入れが進み、ターミナル駅でも乗り換える必要がなくなったことが挙げられる。今年12月、“どことも接続しなかった”相鉄もJR東日本の埼京線と相互乗り入れすることに。このほかにも……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - なぜ地図で「浅草寺」を真ん中にしてはいけないのか
地図を作成している編集者に、2枚の地図を見せてもらった。1枚は浅草寺が真ん中に位置していて、もう1枚は浅草寺が北のほうにある。さて、実際に地図に掲載されているのは、どちらなのか。答えを聞いたところ、予想外の結果に!? - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.