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トヨタ、HV技術特許を無償開放 2万件以上のコア技術を利用可能に:狙いはどこに?
トヨタ自動社が電動車関連の特許を使用する権利を無償提供すると発表。電動車の普及に向け他社とも協調していく方針だ。
トヨタ自動車は4月3日、電動車に関連する2万件以上の特許を使用する権利を、無償で提供すると発表した。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)などを開発するためのコア技術を他社にも共有し、電動車の普及を促す狙い。
特許開放について同社の広報担当者は「ライセンス料の収入が減る、電動車の競争が激しくなるといった側面もあるが、長期的にはメリットもある。電動車市場の競争力が高まれば、トヨタのビジネスチャンスも増える」と説明する。
対象となるのは、モーター、パワー・コントロール・ユニット(PCU)、システム制御、エンジンやトランスアスクル、充電機器などに関連する特許約2万3740件。中には2015年1月から解放している燃料電池関連の特許も含まれている。提供期限は30年末まで。同社の車両電動化システムを使って電動車を開発する企業には、製品化に向けた技術サポートも有償で提供する。
トヨタ自動車の寺師茂樹副社長は「今こそ電動車普及に協調して取り組む時だと思った」とコメント。「これから10年で一気に普及が加速すれば、電動車が普通の車になるだろう。そのお手伝いをしたい」としている。同社ではこれまで日産、マツダ、SUBARU、スズキにハイブリッド車関連の技術を提供している他、25年までに世界で販売する全車種に電動車を導入する方針を明らかにしている。
電動車普及に向けた特許開放の動きとしては、米テスラが14年から電気自動車関係の特許約200件を無償提供している。
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