昭和生まれの「ランチパック」が平成になってから“大化け”した理由:開発体制もユニーク(1/4 ページ)
山崎製パンのランチパックは昭和に生まれた。当初は単なる菓子パンのラインアップの1つにすぎなかったが、平成になって大化けした理由とは?
山崎製パンの「ランチパック」は1年で約4億個を出荷しており、売り上げ額は345億円を誇る看板商品だ(2018年1月〜12月、出荷額ベース)。1984年(昭和59年)に誕生した当初は、菓子パンのラインアップの1つにすぎなかったのに、平成になってから急に大ブレークした。毎年、全国統一商品を約50種類、ご当地限定商品は約80〜90種類発売しており、これまで開発した商品は1600種類以上にもなる。
ランチパックはなぜこれほどまでに成長したのだろうか。そして、これほどの種類を開発できる開発体制はどのようになっているのだろうか。営業統括本部マーケティング部マーケティング第二課の保田高宏課長に話を聞いた。
ランチパックの製法
まず、ランチパックの概要を解説しよう。
ランチパックに使われている食パンは、同社の主力ブランドである「ダブルソフト」や「ロイヤルブレッド」ではない。ランチパック専用の食パンを、独自の製法でつくっており、きめが細かくしっとりしているのが特徴だ。しっとりしているのには理由がある。食感を良くするだけでなく、具材の水分がパンの生地に染み込むのを防ぐためだ。発売当初は、「ピーナッツ」「青りんご」「小倉」「ヨーグルト」の4種類しかなかったが、パン生地が進化することでさまざまな具材を入れられるようになった。
ランチパックは空気に触れると、パンの生地が乾燥してすぐパサパサになってしまう。そこで、製造工程では、食パンをスライスしてから包装するまでに約1分40秒しか時間をかけていない。焼きあがった食パンを専用のスライサーでカットし、具材を乗せ、パンをサンドし、パンの耳をカットし、包装するまでをノンストップで行っている。パンをサンドする際には、専用の機械を使い、2枚のパンの生地の端を圧着している。サンドする際には、特別な接着剤や水は使っていない。
かばんに入れても中身がつぶれにくいように工夫をしている。具体的には、袋の中にエアーを十分に入れて密閉している。
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