昭和生まれの「ランチパック」が平成になってから“大化け”した理由:開発体制もユニーク(4/4 ページ)
山崎製パンのランチパックは昭和に生まれた。当初は単なる菓子パンのラインアップの1つにすぎなかったが、平成になって大化けした理由とは?
工場間で競う開発体制
多種多様なご当地パンが開発できる背景には何があるのだろうか。
実は、山崎製パンの本社は「各工場が開発する商品に対して、基本的に口を挟まない」(保田課長)という方針を掲げている。商品名から具材の選定まで、各工場の裁量が大きいのだ。もちろん、完全な“放任主義”ではない。ブランドイメージの観点から、パッケージのデザインは本社が主導する。ごくまれに商品名や具材に対して本社から修正を要請することはある。しかし、開発現場のモチベーションを重視する観点から、なるべく現場の意見を尊重しているという。また、工場ごとの競争心を刺激して、売り上げを競わせるという効果も狙っている。
ご当地パンの開発には、別のメリットもある。地域貢献の各種施策の受け皿としての役割を果たしている。これまで、地元企業、行政、スポーツチーム、大学などとのコラボ商品を開発してきた実績がある。また、地元産の食材を使うことで、独自色を出すこともできる。これも、なんでも相性のよい食パンを使っているからこそ実現できることだ。
進化を続けるランチパック
パッケージや具材のフォーマットが固まっているかのようにみえるランチパックだが、新しい取り組みもしている。12年7月から、2種類ではなく4種類のスティックタイプのパンが入ったシリーズを発売している。これは、1度にさまざまな味を少しずつ味わいたいというニーズに応える商品だ。また、18年1月からは全粒粉入りパンのシリーズを展開している。これは、健康を意識する女性がターゲットで、パッケージデザインも変えている。
消費者の食の嗜好が多様化し、コンビニなどが独自のパンを開発するなか、競争環境は厳しさを増している。昭和に生まれ、平成に飛躍したランチパックは令和の時代をどのように戦っていくのだろうか。
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