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昭和生まれの「ランチパック」が平成になってから“大化け”した理由開発体制もユニーク(3/4 ページ)

山崎製パンのランチパックは昭和に生まれた。当初は単なる菓子パンのラインアップの1つにすぎなかったが、平成になって大化けした理由とは?

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「東のピーナッツ」「西のたまご」

 これまで1600種類以上が発売されてきたランチパックだが、売れ筋はなんだろうか。保田課長は「ピーナッツが不動の1位で、たまごとツナマヨネーズが2〜3位を争っています」と説明する。西日本ではたまごが最も売れて、東日本ではピーナッツが最も売れている。

 なぜ、ピーナッツが最も売れているのか。保田課長は「発売当時からある商品で、ずっと親しまれているからではないか」と分析する。アレルギーの問題があるため、メーカーにとってピーナッツというのは扱いにくく、製造にあたっては神経を使う具材だという。パンとの相性がよいのはもちろんだが、発売当時、ピーナッツクリームを入れた商品が珍しかったことも、ロングセラーになっている背景にあるのではないかとみている。

 コンビニおにぎりの場合、ローソンではツナマヨが20年間ずっと売り上げ1位を誇っていた。記者が担当者を取材した際、売れる理由について明確な答えというのはなく、いくつかの要因から推測していたのが印象的だった。消費者の嗜好を読み取るのはそう簡単ではないようだ。

さまざまなご当地パン

 ランチパックは開発体制もユニークだ。山崎製パンの全国26工場のうち、ランチパックを製造しているのは20工場だ。工場ごとにカバーするエリアがあり、担当地域にランチパックを供給している。ピーナッツのような全国どこでも売れる商品は多くの工場で製造しているが、エリア限定の商品は現地の工場で開発・製造している。

 例えば、福岡工場(福岡県古賀市)では九州エリア限定の「福岡県産あまおう苺ジャム&ホイップ」を製造している。これは、福岡県産あまおうの苺ジャムとホイップクリームをサンドした商品で、全国区で販売されている「苺ジャム&マーガリン」とは違った味わいがある。“ご当地”パンとしてはロングランの商品で、10年近く九州エリアで売れ続けている。

 ご当地パンが全国で発売されることもある。例えば、武蔵野工場(東京都東久留米市)が開発した「桔梗信玄餅風」がある。これは、お餅(求肥)ときな粉クリーム・黒蜜クリームをサンドしたもので、関東エリアで好評だったので、全国展開したことがある。

 このように、ご当地パンを期間限定で全国展開することで、売り場に変化を出し、お客を飽きさせないように工夫している。

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九州エリア限定のランチパック(左)

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