KDDIは4月4日、コード決済サービス「au PAY」の提供を9日に始めると発表した。通信サービスの利用などでたまった「au WALLETポイント」(1ポイント=1円)などを残高にチャージして使える。「PayPay」や「LINE Pay」、「メルペイ」などと比べると後発だが、ユーザーが保有する1000億円相当以上のポイントを武器に勝負する。
スマホアプリ「au WALLETアプリ」から使えるサービスで、ユーザーがアプリで表示したバーコードやQRコードを、店舗側の端末で読み取って決済する。利用できる店舗はコンビニや家電量販店、飲食店などに順次拡大する。「楽天ペイ」と「メルペイ」の対応店舗でも使えるようにし、2019年度内に100万カ所以上に増やす計画だ。まずはauユーザー向けに提供し、今後他社のユーザーも使えるようにする。
チャージはau WALLETポイント以外に、クレジットカード、携帯電話料金との合算支払い(auかんたん決済)、auショップやローソン店舗などから行える。今夏にはセブン銀行ATMからのチャージにも対応するほか、残高が不足するとauかんたん決済から自動でチャージする機能も提供予定。
残高はアプリに登録した「au WALLETプリペイドカード」などと共有され、プリペイドカードやQUICPayなどコード決済以外の支払いにも使える。プリペイドカード利用者は、既存の残高をそのままコード決済でも使えるようになる。KDDIの中井武志副本部長(ライフデザイン事業本部 新規ビジネス推進本部)は「お客さまにとって一番身近なお財布として使ってもらいたい」と意気込む。
au WALLETポイントを使ったポイント還元も行う。200円(税込、以下同)の利用ごとに1ポイント(0.5%)相当を、auスマートパスプレミアム会員の場合は、3ポイント(1.5%)を還元する。15日からは最大26.5%を還元するキャンペーンも実施する計画だ。
コード決済でもうけるつもりはない?
コード決済提供に向け本格的に動き出したKDDIだが、同社の広報担当者によれば「コード決済だけでもうけようとは考えていない」という。では、au PAYを提供する狙いはどこにあるのか。中井副部長は「WALLETポイントを中心にして、スマホで使うさまざまなサービスの入り口にしたい」と話す。
KDDIは2月にau WALLETアプリの用途を預金、送金、決済のほか、ローン、投資、保険などの契約などさまざまな金融サービスに拡大する「スマートマネー構想」を発表している。au PAYの提供もその一環だ。
4月9日にはau WALLETポイントを使って投資の疑似体験ができる「au WALLET ポイント運用」の提供を開始し、同月下旬にはau WALLET残高にチャージして借り入れできる「au WALLET スマートローン」もスタートする。コード決済をきっかけにau WALLETアプリを使う人が増えれば、こうした金融サービスの利用拡大につながる可能性もある。
KDDIの東海林崇本部長(取締役執行役員専務 コンシューマ事業)は「KDDIが目指す通信とライフスタイルの融合で欠かせないのが、金融分野だ」と話す。「auの経済圏を拡大してスマホ決済に昇華していく。スマホ決済の体験価値を高めて、スマホを使った金融サービスを広げたい」(東海林本部長)
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