自律と他律を超えていく「合律的」働き方:他律は悪か(2/3 ページ)
自律(正)×他律(反)→合律(合)の進化は、観点を変えれば、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)のダイナミズムといってもいいでしょう。あなたが所属する事業組織には、個と組織の「合律的」ダイナミズムが健全に起こっているでしょうか。
また、他律的な働き方は、ときに効率的でミスの少ないものです。もしその組織が、過去から営々と築き上げてきたノウハウを持っている場合は、下手に個人が独断で動くより、組織の持つ暗黙知・形式知に従って(=他律的に)淡々と仕事をやるほうがいい場合もあります。ただ、それに安住してしまうと、他律的の望ましくない面がじわり出てくるわけですが。
いずれにしても、ここで押さえたいことは、自分の律も他者の律も完璧ではないことです。そしてさらに重要なのは、両者の律を「合して」つねに「よりよい律」を生み出していくことです。
自律と他律を高い次元で止揚する「合律」
さて、両者の律を合するとはどういうことでしょう。
ある仕事をやろうとするとき、組織や上司はこう考え、こう行なうようにと命令してくる(=他律的な)意志と、それに対し、「いや、自分はこう思うので、こうしたい」とする(=自律的な)意志が生じます。
そこで自分と上司なり組織なりが討議をして、双方が納得する答えをつくり出そうと努めます。そして何か新しい知恵を含んだアイデアが生じたとします。この自分と他者の間に生み出された第三の答えは、自律も含み、他律も含み、一段進化したものです。
その第三の答えは、双方の律を“合した”という意味で、「合律(ごうりつ)」的と呼んでいいかもしれません。自律的な「正」の考えに対し、他律的な「反」の考えがあって、その2つを高い次元で止揚する「合」が生まれたということです。
ただし、「正」と「反」がぶつかりあっても、妥協で済ませる場合は「合」ではありません。「合」とは次元が上がって生み出された新しい何かです。
関連記事
- なぜ「小僧寿し」は危機に陥ったのか 犯人は“昭和のビジネスモデル”
「小僧寿し」が債務超過に陥った。苦境の背景に「持ち帰り寿司の限界」とか「多角経営が裏目に」といった声が出ているが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - 「佃製作所はやっぱりブラック企業」と感じてしまう、3つの理由
ドラマ「下町ロケット」の特別編が放映され、14.0%という高視聴率を叩き出した。多くの人がこのドラマを見て胸が熱くなったかもしれないが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。ドラマの内容を考えると、「日本の未来に不安を感じる」という。どういう意味かというと……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.