続・スバルよ変われ(後編)――2040年のクルマ:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)
前編の「安心と愉しさ」を実現するための、スバルの新たな3つの軸と、未来のスバルへの情報開示をどうしていくのかという話に続き、2030年、40年のスバルはどうなるか。STI社長兼スバル技監である平川良夫氏へのインタビューから。
前編では「安心と愉しさ」を実現するための、スバルの新たな3つの軸と、未来のスバルへの情報開示をどうしていくのかという話を伺った。まずは2030年、40年のスバルがどうなるかという話だ。それはこれまでの自動車という領域だけの話ではないだろうと平川氏は語る。
STIを作った原点
池田 それは今トヨタが言っているMaaS的な話とは違うんですか?
平川 全然違います。スバルは航空も持っていますし、ハードなものだけではないんです。例えばSTIがそうです。STIが作られた原点の話をしておいた方がいいですね。80年代に、スバルは自分たちに自信を喪失した時期がありました。スバルのフロントグリルから六連星が消えた時代があったんです。
お客様に対してちゃんと商品を誇りに思っていただくためのさまざまなことが伝えられない。それ以前に自信喪失してしまって、これでいいのかどうかも分からない。そこでスバルの自信を回復するための橋頭堡(きょうとうほ)として、スバルとお客様の両方に自信を取り戻してもらうためにできた会社がSTIなんです。
池田 今回インタビューさせていただいているのは実はSTI30周年のイベントなんですが、ここに3000人近いお客さんが全国からやってきている。こういうロイヤリティファンに対するファンサービスというのは、いかなることがあっても維持していかないといけないですよね。
平川 そうです。なぜ高いスマホをみんな持っているかといえば、これによって生活の中でなんらかの自分の気持ちが第三者とシェアできるからだと思うんです。単なる経済合理性のシェアじゃないんです。スバルは経済合理性のシェアではなく、感動をシェアしていくところに注力していきたいんです。そのためにお客様と場や時間や空間を共有することで、自分たちがやれていない、やるべきことをもっと自分たちも感じ取って具体化していくことだと思います。
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