続・スバルよ変われ(後編)――2040年のクルマ:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/4 ページ)
前編の「安心と愉しさ」を実現するための、スバルの新たな3つの軸と、未来のスバルへの情報開示をどうしていくのかという話に続き、2030年、40年のスバルはどうなるか。STI社長兼スバル技監である平川良夫氏へのインタビューから。
フラット4のフラッグシップスポーツの可能性
池田 ちょっと話が変わりますが、CAFE(企業平均燃費)の話などを考えていくと、フラット4は将来的に難しいと思っています。主力として売るのは難しい。しかし一方でフラット4を愛してくれるユーザーがたくさんいるということを考えると、ボクはSTIがフラット4の基地になるべきだと思います。スバル本体に関していえば、トヨタアライアンスの中からシャシーなりエンジンなりを調達してスバルらしい走りに仕立てて行くことが生き残りの本筋だと思います。スバルの人がそれを言うのはなかなか難しいのかもしれませんけれど。
平川 そんなことないですよ。ついこの間まで、リヤエンジン直4を90度寝かしたサンバーを作っていました。フラット4以外やらないなんてことはないです。
池田 私はCAFEに引っかからないためにも、STIがフラット4をひっくり返して、ミッドシップのAWDにして、スペース鋼管フレームで毎年300台作って1500万円で限定販売すればいいと思いますよ。
平川 スペース鋼管フレームは剛性面で考えるとあまりメリットがないです。やっぱり外板で力を分散する方が効率的です。
池田 モノコックで少量生産は難しくないですか?
平川 うーん。そんなに難しくはないですよね。作り方によると思います。今スバルが始めているのは、私が10年以上前に提案した方法なんですけれど、普通はフロントストラクチャー、サイドストラクチャー、センターストラクチャーっていうストラクチャー単位で作ります。この骨格をインナー面とアウター面で最初に接合してからセンターストラクチャーにくっつけると面でしか接合できないんです。インナーの骨格を先にセンターストラクチャーに組み、あとからアウターと合わせるやり方、インナーボディコンと呼んでいますが、これだと強度が上げられます。
池田 つまり構造を二層にして、先に内側を作ってから外皮に包むやり方で、より複雑な接合が可能になるという理解でいいですか?
平川 そうですね。そしてそのやり方だとアウター側のパネルのパッケージの自由度が上がります。
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