いつまで続く? 通勤ラッシュへの挑戦、歴史は長い:かつての混雑率は300%超(1/4 ページ)
4月である。新入社員や新入生が電車に乗るようになって、「通勤電車が混んできたなあ」と感じている人も多いのでは。通勤ラッシュを改善させるために、首都圏の鉄道会社はどのようなことに取り組んできたのか。
4月になり、新入社員や学校の新入生がラッシュ時の電車に乗るようになってきた。特に新入社員は、「これからいつまでこのラッシュ時の電車に乗らなければならないのか」と思っているかもしれない。しかし、通勤ラッシュは新入社員の祖父母時代から起きていて、この問題を解決するために鉄道会社はさまざまな取り組みを行ってきた。
ラッシュ改善の最近の動き
通勤ラッシュを改善するために、鉄道会社はどんなことに力を入れてきたのか。最近の事例で見ると、2018年3月に小田急電鉄が代々木上原〜登戸間の複々線化事業を完成させ、通勤時間帯の列車本数を増やし、かつ都心への到達時間を短くさせたことがあった。
だが、この複々線化事業、かなりの年月がかかっている。計画から50年、着工から30年の時間をかけて、事業は完成した。計画のころに小田急電鉄に入社した人は、すでに定年退職している。
その間も、ずっと通勤ラッシュの問題は、解決できないままでいた。
他社でも、ラッシュ改善のための取り組みは行ってきた。東京メトロ東西線では、車両をワイドドアにして乗降時間の短縮を図っている。設備面でも改良工事は続き、南砂町駅の2面3線化により都心方面の片方のホームに列車が入っているときに、後続の列車が別のホームに入れるようにして遅延を防いだり、木場駅のホームを拡幅したりと、混雑の激しい状況をなんとか緩和しようと対策が進められている。
京王電鉄京王線では、笹塚〜仙川間の連続立体交差事業に向けての動きが本格化。明大前や千歳烏山といった利用客の多い駅では2面4線にして同じ方面でも複数乗り場を使えるようにし、交互に停車することでラッシュ時の列車が少しでも早く終点につくようにする。
ただ、これらの工事には時間がかかり、すぐになんとかならないのが現状だ。その中で東京都は時差通勤キャンペーン「時差Biz」に取り組み、ラッシュ緩和につとめようとしている。
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