東京の鉄道「8両化」の動き、次はどこ?:意外と混んでいる(2/3 ページ)
東京の鉄道を見ると、たくさんの乗客が乗っているので、「長編成の路線が多いのかな」と思われているかもしれないが、実はそうでもない。3両編成から6両編成の路線も多いが、ここ数年8両化の動きが出ている。その背景にあるのは……。
8両化への動き
東京都交通局は昨年、都営三田線の8両化を決定し、相互乗り入れ先の東急目黒線や、関係する東京メトロ南北線、埼玉高速鉄道はどうするのかが問われていた。また、それらの路線は相模鉄道への乗り入れにあたってどうするのかも注目を集めていた。相模鉄道は20000系という東急線内直通車両を開発し、現在は10両編成であるものの、8両への減車も対応可能だという。
今年の3月、東京メトロは中期経営計画「東京メトロプラン2021」を発表し、その中で南北線の8両化について発表している。同じころ、埼玉高速鉄道も8両化を発表した。ほぼ同時期に、東急電鉄が目黒線8両化を発表している。東急は併せて、新型車両3020系を導入する。当面は6両で運転するものの、22年度上期に8両化を既存の車両も含めて行うという。もちろん、その他の路線も時期を合わせて8両化を行う。相鉄との直通は、22年度下期となるという。
相鉄への直通時期に合わせ、混雑しているこれらの路線を8両にするということになる。
できあがっていた設備
鉄道の場合、ホームの長さに余裕がなければ、長編成にすることは不可能だ。例えば東京メトロ銀座線など、戦前には余裕をもってつくられていた路線が、いまや窮屈になっている状況でも、地下構造物の大規模な改築などができないため、増発するしかないのである。
その点、東京メトロ南北線や埼玉高速鉄道、都営三田線は完成時から8両編成で運行することに対応していた。そのぶんのホームの長さがあるのだ。また、東急目黒線は奥沢の8両化対応工事が終わりさえすれば全駅で8両編成の列車に対応できることになる。
これらの路線には、いまでは鉄板や柵で線路に侵入できないようにしているホームが多いものの、それを外してホームドアをつければいいだけの状態になっている。また南北線では、フルスクリーンタイプ(天井近くまでスクリーンで覆われたもの)を8両分、各駅に設置しており、実際に列車を走らせるための対応工事さえすれば大丈夫である。
乗車人員などの関係で6両編成になっていたこれらの路線も、多くの人が利用し混雑が目立つようになり、相鉄との直通でさらに人が増えることが見込まれるため、既存の設備をフル稼働させることになり、実力を発揮させられるようになった。
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