なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
大バッシングに発展してしまう恐れ
つまり、「プリウスバッシング」も数の多さとビッグネームからきている可能性が否めないのだ。と聞くと、トヨタ関係者やプリウスファンは、「人気者へのねたみみたいもんか」と軽く見るかもしれないが、そのような「イメージ先行型」だからこそ深刻だと筆者は考える。
確かに、現在はSNSで局地的に騒がれているだけだが、これをこのまま放ったらかしにしておくと、日本社会全体を巻き込むような大バッシングに発展してしまう恐れがある。今の流れでは、プリウスは「暴走老人」を象徴するアイコンになる日もそう遠くはない。ということは、高齢者ドライバーが今以上に深刻な社会問題化したとき、その巻き添いをくらって世間から石を投げられる可能性があるということだ。
「オレはプリウスに乗っているけど、まだ20代だぞ!」と怒る方もいらっしゃるかもしれないが、そもそもプリウスが「シニアカー」だということは、開発者の大塚明彦さんも09年にこうおっしゃっている。
『これまでのプリウスの購入層は、50〜60歳代が多かったんです。子育てを終え、クラウンやマークXを下取りに出して、夫婦だけでダウンサイジングした車をゆっくり楽しもうという世代。プリウスなら自分たちも納得でき、他人から見られても恥ずかしくない、ということでしょう』(朝日新聞 2009年6月3日)
4代目プリウスあたりまで、この傾向はさほど変わらない。J-CASTニュース(2016年1月19日)の取材に応じたトヨタは、幅広い年齢層から支持をいただいているとしながらも、ちゃんと「60代以上を中心に」と述べている。
警察庁によると、75歳以上の運転免許保有者は18年時点では563万人。これは高齢化社会で年々増加していくという。ということは、この中にかなりの割合で含まれている「プリウスを操る高齢者」も年々増加していくことでもある。
では、これから増えていく「プリウス高齢者」は、どんな性格的な特徴があるのかという、ズバリ「傲慢」である。
NEXCO東日本が、65歳以上男女104人と65歳以上のドライバーを親に持つ子ども世代、男女312人に対し、車の運転に関する意識調査を実施したところ、驚愕の事実が判明した。
高齢男性ドライバーのなんと約8割が運転に「自信あり」と回答し、しかもこの傾向は年齢が高くなればなるほど増えていくというのだ。年齢を重なれば謙虚になるのではなく、「オレはまだまだイケるぞ」とイキってハンドルを離そうとしない。典型的な「傲慢な高齢者」ではないか。
そのような「傲慢(ごうまん)な高齢者」が操るプリウスがちまたに溢れれば当然、アクセルとブレーキを踏み間違える「暴走プリウス」も増えていくということだ。
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