なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
SNSで盛り上がる「#今日のプリウス」
確かに、今回の事故の87歳は元通産官僚で、クボタの副社長まで務めたエリートである。吉祥寺で多くの人を跳ね飛ばした85歳も弁護士だ。職業的にはどちらも「エリートゆえの自信家」というイメージが頭をよぎる。
加齢で認知力や判断力が衰えているにもかかわらず、自信満々で周囲の意見に耳を貸さない。そんな「傲慢な高齢者」がプリウスを操っているのでは、と思わせるような情報もSNS上には溢れている。
それが「#今日のプリウス」だ。
言葉の響き的には「今日のわんこ」みたいなほのぼのとしたものをイメージするかもしれないが、そうではなく、街で見かけた非常識なプリウスの写真をさらしていくというもので、信号無視をするプリウス。一時停車をしないで割り込んでくるプリウス、そして駐車スペースを無視した無茶苦茶な止め方をするプリウスなどの写真や動画がアップされているのだ。
もちろん、これもプリウスの台数が多いゆえの話と片付けるのは簡単だ。しかし、プリウスの傲慢な振る舞いに腹を立てている人々が確かに存在し、今回のような事故が繰り返されるたびに、その怒りの声が多くなってきていることは、トヨタとしてかなり重く受け止めるべきではないかと思う。
セブン-イレブンの前例があるからだ。
目下、「24時間営業問題」で炎上しているセブンだが、実はこの問題は昨日今日に始まったことではない。16年あたりからSNSでは、バイト不足でブラック的な労働環境だということは指摘されていた。1時間遅刻すると罰金を払わされるとか、「おにぎり温めますか」という問いかけに「うん」と答えた女性客に、ブチギレするオーナーの息子など、「現場の怒り」が様々な形でSNSでは上げられていたのだ。
そのように局地的に盛り上がっていた怒りのマグマが、大阪のオーナーとFC本部の「24時間営業」をめぐる対立に注目が集まって一気に「爆発」した、という流れである。
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