連載
なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
何かのきっかけで「大爆発」する可能性
ならば、「#今日のプリウス」「#プリウスミサイル」という局地的なバッシングも、何かのきっかけで「大爆発」する可能性はないか。例えば、多発する「暴走老人」たちが、自分の操作ミスではなく、プリウスの不具合だと声をそろえて訴えたら――。
そんなバカな話があるわけがないと言い切れるだろうか。福岡のケースでは、運転手はトヨタの不具合だと主張しているし、先ほど触れたように、高齢者ドライバーというのは歳をとればとるほど独善的になる。悪いのは自分の運転ではなく、プリウスだと逆ギレする暴走老人が増えても何もおかしくはない。
という話をすると、「そんな事態になる前に暴走を防ぐ新技術や自動運転が開発されるから大丈夫」みたいなことをいう人もいるが、仮にそれが開発されたところで、シニアが運転する車に全て適応されるまで、あと何人、今回の母子のような犠牲者を出さなくてはいけないのかという問題がある。
高齢者は問答無用で免許を奪えとかいう人もいるが、車が移動手段の田舎ではライフラインを奪うのと同じだ。しかも、「老人優遇」のシルバー民主主義のこの国ではかなりハードルが高い。
ならば、どうするか。
個人的には、そのような技術革新を進めながらも、17年の記事『アクセルと踏み間違えない「左ブレーキ」が、普及しない理由』の中で詳しく紹介した「左足ブレーキ」を1日も早く導入すべきだと思っている。
関連記事
- 人手不足は本当に「悪」なのか 騙され続ける日本人
人手不足が原因で倒産する企業が増えているようだ。東京商工リサーチのデータをみると、前年度から28.6%も増えて、過去最高を更新している。数字をみると、「人手不足=悪」のように感じるが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。 - 日本は給料の低い微妙な国になる、これだけの理由
働き方改革が叫ばれながらも、日本企業の生産性はなかなか上がらない。今後の成長が危ぶまれるポスト平成時代、私たちはどのように働けばいいのだろうか。社会学者の古市憲寿氏と、元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏に、これからの「働き方」について語ってもらった。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 「一蘭」にハマった外国人観光客は、なぜオーダー用紙を持って帰るのか
ラーメン店「一蘭」といえば、食事をするスペースが仕切られている味集中カウンターが有名である。珍しい光景なので、外国人観光客も写真を撮影しているのでは? と思っていたら、店員さんに「オーダー用紙を持ち帰りたい」という声が多いとか。なぜ、そんな行動をしているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.