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「24時間からの撤退」を突き付けられたコンビニ本部の“生存戦略”小売・流通アナリストの視点(3/6 ページ)

コンビニ本部と加盟店が対立し、クローズアップされる24時間営業の是非。今、コンビニ本場が取るべき「生存戦略」とは――。

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夫婦交代制という「不文律」

 その代わり、コンビニ本部から求められたのは長時間営業(後には24時間営業が当たり前になる)であり、早朝深夜も営業して少しでも売り上げを拡大することを目指すことだった。(コンビニ本部の収益源は、加盟店の売上総利益の一定比率を上納するロイヤリティーなどであり、売り上げ拡大≒本部の増収となるため)。早朝深夜時間帯は、一般的には来店客数も少なく、加盟店にとって時間当たりでの固定費(人件費、水道光熱費など)の負担は重くなる。しかし、コンビニ本部との当初からの取り決めであるため、採算が合わなかったとしても閉店しますとは言えない。

 この問題に加盟店経営者の多くが選択したのは、経営者夫婦でなるべく長時間シフトに入ることで、アルバイトへの依存を軽減するというものだった。それまでも個人商店主としてエンドレスで仕事をしてきた加盟店経営者にとっては、実際にはあまり負担感もなく行われていたため、こうしたやり方がコンビニ加盟店経営の不文律のようになった。

 勝手な推論にすぎないが、コンビニ本部はこうした不文律を意図的に発生させたのだと思う。少し前まで、コンビニ加盟店の要件の一つが、夫婦で経営に参加できることであったというのだから推して知るべしで、長時間営業を夫婦交代制で乗り切ることを前提としているということだ。直営店でやるのが普通であったチェーンストアの世界で、コンビニはあえてFC契約による加盟店によって展開し、店舗経営者に労働基準法の適用されない仕組みを選んだ。

 長時間労働を厭わない個人商店主をスカウトし、自己責任で利益を追求していく商人魂を刺激して、長時間頑張れば加盟店としても利益をあげられる集団を作り上げたのである。

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経営者夫婦でなるべく長時間シフトに入ることで、アルバイトへの依存を軽減するという「不文律」ができた(写真提供:ゲッティイメージズ)

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