復活できるのか? 再上場で注目される、ジーンズの「リーバイス」:競合がたくさん(2/5 ページ)
リーバイスを展開するリーバイ・ストラウス社は、創業166年になる老舗ブランド。そんな歴史的な企業が、最近また注目されている。その理由は、2019年3月に同社がニューヨーク証券取引所に再上場したからだ。
ファッションを取り巻く環境が変化
最初に懸念すべきなのは、ファッションを取り巻く環境が変化していることだ。その変化というのは、インターネット通販やファストファッションの猛威だ。
特に、インターネット通販によって消費者の購買パターンが劇的に変わったことで、米国内ではショッピングモールや百貨店の低迷が浮き彫りになっている。
そのダメージを最も受けているとされるのが、老舗ブランドだ。ショッピングモールや百貨店を中心に展開してきた老舗ブランドは、時代の変化についていけず、生き残りが厳しい状態に陥っている。
リーバイスも例外ではない。18年の売り上げを見ると、56億ドルだったが、全体の57%を専門店や百貨店が占めている。もちろん、その状況に危機感を持っていないわけではない。
リーバイスは、より収益の高い直営店の実店舗を増やし、自社のECサイトを強化することでオムニチャンネル戦略を目標に掲げている。
しかし、リーバイスのECサイトでの売り上げは、まだ全体の14%ほどしかない。直営店を増やすことも重要だが、それ以上にECサイトの強化は早急に対応しなくてはならない課題となっている。
また、リーバイスを取り巻く環境をみると、常に手強い競合ブランドの脅威にさらされている。90年代には、デニムメーカーではない「Old Navy」や大手小売店の「ターゲット」などが、低価格のデニム製品を販売し業界に乗り込んできた。
ちなみに、米国のデニム市場において、首位はリーバイスだが、2位にWrangler、3位にOld Navy、4位はAmerican Eagle Outfitters、次にターゲットと続いている。
そして近年では、低価格のデニムを販売する、ファストファッションのブランドが勢いづいており、さらなる脅威となっている。世界のデニム市場で、リーバイスの次にデニム製品を多く販売している、「ZARA」や「H&M」のことだ。
このようなファストファッションブランドは、顧客が求めるトレンドやデザインを即座に商品化することで、シェアを伸ばしている。さらに、ファストファッションブランドは、実店舗だけではなくECサイトでの販売に強みがあるため、リーバイスにとっては手強いライバルとなっている。
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