2015年7月27日以前の記事
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ディズニー、Hulu…… 動画配信の覇権争いは日本アニメをどう変えるかジャーナリスト数土直志 激動のアニメビジネスを斬る(1/7 ページ)

覇権争いを激化させる映像配信プラットフォームの巨人たち。日本アニメにどんな影響を与えるか。アニメ・映像ビジネス報道の第一人者が斬る。

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 映像配信プラットフォームの主導権を巡る争いが世界中で激化している。Amazonプライム・ビデオやNetflixをはじめ日本でも激しいユーザー争奪戦を繰り広げている各社だが、特に日本のアニメビジネスに今後与える影響は少なくない。

 動画配信サービスは、日本のアニメビジネスにとって無くてはならない存在になりつつある。ビデオソフト(DVD/Blu-ray)の売れ行きに依存していた深夜アニメのビジネスモデルが崩れていく(発売中止の作品まで…… アニメの“円盤”は消滅するのか? を参照)中で、アニメの視聴シーンは地上波からこうしたサービスに移ろうとしている。動画配信のプラットフォーム側が支払うライセンス料は、日本アニメビジネスの新たな収益源になってきた。

 配信各社にとっても、有力な日本アニメのタイトル獲得や自社資本による製作は重大な関心事と言える。日本市場においてアニメは特に強力な人気コンテンツであり、日本アニメもまた世界中で強い支持を得ているからだ。

 そこで今回は、映像配信の巨人たちによる主導権争いの行方と、彼らが日本アニメを今後どう変え得るのかを見ていきたい。

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世界的な動画配信プラットフォームの覇権争いは日本アニメにどう影響するのか

「打倒Netflix・ Amazon」狙うITの巨人たち

 まず、きっかけは定額課金でインターネットの番組が見放題になるNetflixとAmazonプライム・ビデオの成功である。豊富な番組ラインアップを武器に、わずか10年で両サービスとも契約数で1億人を超える拡大を遂げたからだ。ユーザーの多さとビジネスのボリュームで、いまや映画界では大きな存在感を誇る。

 映像配信の世界的な覇権が2社で築かれると思いきや、ここに来て新たな強力プレイヤーの参戦が次々に明らかになっている。「打倒Netflix・ Amazon」と、両社の市場寡占を許さないというわけだ。

 ハリウッド側からはAT&Tと経営統合を果たした巨大企業ワーナーメディア、それにNBCユニバーサル。さらにGAFAと呼ばれるIT業界の巨人たちもだ。iPhoneで世界に10億人以上のユーザーを持つAppleは「Apple TV+(プラス)」の立ち上げをこの3月に発表したばかり。映画界の大物スティーブン・スピルバーグ監督の協力も取りつけた。SNSの大手Facebookも映像配信への進出を明らかにしている。YouTubeを傘下にするGoogleも侮れない。巨大メディアとIT企業がぶつかり合うことになる。

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